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裁定制度の適正運用に向けた改正案、特許庁が意見募集を開始

2025年3月5日、特許庁は、裁定制度の円滑な運用を目的として策定された「裁定制度の運用要領」の改正案及び裁定に係る審議の効率化等を図るための特許法施行規則(昭和35年通商産業省令第10号)の一部を改正する省令案について、意見募集(パブリック・コメント)を開始しました。

今回の改正は、裁定に関与する当事者の予見可能性を向上させるとともに、工業所有権審議会における審議の効率化を図ることを目的としています。

この改正案は、2024年12月24日に開催された工業所有権審議会発明実施部会(第23回)における議論を踏まえたものです。同部会では、平成9年(1997年)に改正された現行の裁定制度の運用要領についての改正案が審議されました(2025.02.18ブログ記事「裁定制度運用要領を改正へ 特許庁、事前協議要件や「公共の利益のために特に必要であるとき」要件の明確化で議論」参照)。

裁定制度運用要領を改正へ 特許庁、事前協議要件や「公共の利益のために特に必要であるとき」要件の明確化で議論
特許庁が主催した工業所有権審議会第23回発明実施部会(2024年12月24日開催)では、27年ぶりに裁定制度の運用要領の改正案が審議されました。その際に使用された配布資料や議事録は、特許庁のウェブサイトで公開されています。本審議は、現行制度の課題を踏まえ、初の裁定請求事例である2021-1号事案(2024年7月2日公開のブログ記事「公共の利益のための通常実施権を設定すべき旨の裁定請求 ⾃家iPS細...

この審議では、現行制度の課題に加え、裁定請求事例である2021-1号事案(2024年7月2日公開のブログ記事「公共の利益のための通常実施権を設定すべき旨の裁定請求 ⾃家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の製造等に関してビジョンケア、ヘリオス、住友ファーマらが和解 ― 強制実施権設定の在り方と浮かび上がった課題 ―」参照)を踏まえた改善点、特に以下の点が議論されました。

  • 「協議が成立せず、又は協議をすることができないとき」(事前協議要件)の明確化
  • 「公共の利益のために『特に必要である』とき」要件の具体化
  • 請求書のフォーマットの見直し

その後、2025年2月19日~2月25日に開催された工業所有権審議会発明実施部会(第24回)において、改正案の詳細が再審議され、書面審議の結果、全会一致で議決されました。

今後、この改正案に関して募集するパブリック・コメントの結果を踏まえて最終的な運用要領が施行される予定です。

意見募集の対象と募集期間は以下のとおりです。

ニャー
ニャー

本件に関する配布資料や議事録は特許庁のウェブサイトで公開されています。当ブログでも裁定請求事例である2021-1号事案を取り上げてきました。これらを確認して改正案に意見がある方はぜひパブコメを送りましょう!

Fubuki
Fubuki

私もパブコメを提出してみましたよ。

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