本件(知財高裁令和6年(ラ)10001)は、旭化成ファーマが、沢井製薬(抗告人)が製造・販売する骨粗鬆症治療薬「テリボン®皮下注用56.5μg」の後発医薬品(抗告人製品)が「高純度PTH含有凍結乾燥製剤およびその製造方法」に関する特許権(特許第6025881号)を侵害するとして、その製品の製造・販売の差止めや製品の引渡し、薬価基準収載品目削除を求めた仮処分命令申立て(大阪地裁令和4年(ヨ)20011・基本事件)に端を発する事案である。
大阪地裁は、2023年9月4日、抗告人製品の製造・販売差止めや製品の引渡しを命じる仮処分決定(原々決定)を下し、その余の申立てを却下した(原々決定)(参照: 2023.09.05ブログ記事「旭化成ファーマ テリボン®皮下注用56.5μgの後発品を巡る特許権侵害訴訟で大阪地裁が沢井製品の製造販売差止の仮処分命令を発出」)
沢井製薬は、原々決定を不服として保全異議を申し立てたが(大阪地裁令和5年(モ)59004・原審)、大阪地裁は、原々決定を認可する決定(原決定)をした。
本件は、沢井製薬が、原決定を不服として知財高裁に保全抗告を行った事案である。
知財高裁(第3部)は、旭化成ファーマの申立てについて認容した原々決定及び原決定は相当であるとして、沢井製薬による本件抗告を棄却した。
沢井製薬は、抗告人方法が本件発明の技術的範囲に属するとしても、抗告人方法は公知技術の実施にすぎないとして自由技術の抗弁を追加する主張をしたが、知財高裁は、これを採用せず、侵害成立を否定しなかった。沢井製薬の自由技術の抗弁の詳細及び知財高裁の具体的な判断内容は黒塗りされており、明らかではない。
本件特許権の侵害であると問われた沢井製薬が、「自由技術の抗弁」を具体的にどのように主張したのか、そして裁判所はどのように判断したのか、とても気になります・・・
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- 2024.09.26 「旭化成ファーマ v. 沢井製薬」 大阪地裁令和4年(ワ)3344
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