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ノーベルファーマ、「ノベルジン®(酢酸亜鉛水和物)」の後発医薬品を製造販売する沢井製薬に対する特許権侵害差止請求訴訟で敗訴(東京地裁)

ノーベルファーマ株式会社(以下、「ノーベルファーマ」)のプレスリリースによると、ウィルソン病治療剤(銅吸収阻害剤)・低亜鉛血症治療剤「ノベルジン®錠 25mg、同 50mg」(以下、ノベルジン®)の後発医薬品を製造販売する沢井製薬株式会社(以下、「沢井製薬」)に対して、ノーベルファーマが、保有する特許権(特許第6716464号、特許第6768984号)の侵害を理由として、2023年4月17日に東京地方裁判所に提起していた特許権侵害差止請求訴訟で、2024年9月26日、ノーベルファーマの請求を棄却する判決が言い渡されたとのことです。

ノーベルファーマは、この判決を不服として、知的財産高等裁判所に控訴することも伝えています。

参照:

ノーベルファーマ、「ノベルジン®(酢酸亜鉛水和物)」後発医薬品承認取得した沢井製薬を酢酸亜鉛水和物錠の製造方法に関する特許権侵害で提訴
2023年4月18日付のノーベルファーマのプレスリリースによると、ノーベルファーマは、ウィルソン病治療剤(銅吸収阻害剤)・低亜鉛血症治療剤「ノベルジン®錠 25mg、同 50mg」(以下、ノベルジン®)の後発医薬品について2023年2月15日に製造販売承認を取得した沢井製薬に対して、ノーベルファーマが保有する特許権(特許第6716464号、特許第6768984号)の侵害を理由として、2023年4月...

なお、ノーベルファーマは、2023年10月30日に東京地方裁判所に仮処分命令の申立てを行ったことも発表していました。

ノベルジン®は、酢酸亜鉛水和物(Zinc Acetate Hydrate)が有効成分であり、2008年1月25日に、希少疾患である「ウィルソン病」の効能・効果で承認され、同年4月に販売が開始されました。また、2017年3月24日には、「低亜鉛血症」の効能・効果の追加、2021年1月22日には、小児の低亜鉛血症に対する新用量の追加について一部変更承認されました。

再審査の期間は、以下のとおり終了しています。

  • ウィルソン病(肝レンズ核変性症) :10年間(満了年月:2018年1月)
  • 低亜鉛血症:5年10ヵ月間(満了年月:2023年1月)

ノーベルファーマの各特許の請求項1は、以下のとおり、錠剤の製造方法に関するものです。無効審判請求はされていないようです。

(1)特許第6716464号(存続期間満了日: 2035年12月2日)

【請求項1】
(1)酢酸亜鉛水和物(CZn・2HO)、賦形剤、崩壊剤及び溶媒の混合物を造粒した後乾燥して造粒物を得る工程、(2)該造粒物を打錠して素錠を得る工程を含み、前記工程(1)における品温が40℃未満であることを特徴とする、
酢酸亜鉛水和物錠の製造方法。

(2)特許第6768984号(存続期間満了日: 2035年12月2日)

【請求項1】
(1)酢酸亜鉛水和物(CZn・2HO)、賦形剤、結合剤、崩壊剤及び溶媒を含む混合物を造粒した後乾燥して造粒物を得る工程、(2)該造粒物を打錠して素錠を得る工程を含み、前記工程(1)における品温が40℃未満であることを特徴とする、
酢酸亜鉛水和物錠の製造方法。

沢井製薬が後発医薬品として2023年2月に承認を取得した酢酸亜鉛錠25mg「サワイ」及び酢酸亜鉛錠50mg「サワイ」は、「ウィルソン病」の効能・効果のみでしたが、同年6月7日の「低亜鉛血症」の追加承認を経て、6月16日に薬価収載、8月4日に販売を開始しました。

また、酢酸亜鉛顆粒5%「サワイ」も、2024年2月に承認、同年6月に薬価収載・販売開始に至っていますが、錠剤ではないため、今回の訴訟とは関係ないと思われます。

ノーベルファーマは、後発医薬品参入への対抗策としてノベルジン®のオーソライズド・ジェネリック医薬品を投入しました。

ニャー
ニャー

ノーベルファーマの2023年12月期 事業報告書によると、ノベルジン®の後発医薬品の参入は実績に大きく影響したようです。2023年度のノーベルファーマの売上高合計は 19,027 百万円。その内、ノベルジン製品群(ノベルジン、ノベルジン顆粒、ノベルジンAG)は9,396 百万円であり、49.6%を占めます。

ピポ
ピポ

沢井製薬の製造工程がどうなっているのか、ノーベルファーマは査証制度を活用できたのか気になるな。

ミャオ
ミャオ

判決文の公開が楽しみですね~ピポ先輩!

コメント

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