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旭化成ファーマ、「テリボン®皮下注用56.5μg(テリパラチド)」の後発医薬品を製造販売する沢井製薬に対する特許権侵害差止・損害賠償請求訴訟で勝訴(大阪地裁)

特許第6025881号 【図2】より

旭化成ファーマ株式会社(以下「旭化成ファーマ」)のプレスリリースによると、旭化成ファーマが製造販売している骨粗鬆症治療剤テリボン®皮下注用56.5μg(一般名:テリパラチド酢酸塩)に関する製法特許(特許第6025881号、以下「本件特許権」)に基づき、旭化成ファーマが沢井製薬株式会社(以下「沢井製薬」)に対して後発医薬品である「テリパラチド皮下注用56.5μg『サワイ』」(以下「沢井製品」)の製造販売差止および本件特許権侵害行為による損害賠償の支払いを求めていた訴訟(大阪地方裁判所令和4年(ワ)第3344号)で、2024年9月26日、大阪地方裁判所は、沢井製薬に対して、沢井製品を本件特許権の方法で製造、販売又は販売の申出をしてはならないこと、沢井製品を廃棄すること、30億6491万6243円の賠償金、及び訴訟の過程で損害賠償請求を追加した時点から支払い完了まで年3%の遅延金を支払うことを命じる判決を言い渡したとのことです。

参照:

なお、2023年9月4日には、大阪地方裁判所から、沢井製薬に対し、沢井製品の製造、販売及び販売の申出をしてはならないとの仮処分命令が発出されていました。

参照:

2024年5月の沢井製薬ホームページ「テリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」の供給に関するお詫びとお願い」によると、「骨粗鬆症治療剤『テリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」』につきまして、大阪地方裁判所から弊社に対して、旭化成ファーマ株式会社の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(一般名:テリパラチド酢酸塩)に関する特許に基づき、製造販売差止仮処分命令が発出されました。本仮処分命令により、弊社からのテリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」の出荷を2023年9月5日から停止させていただいており、現在のところ出荷再開時期は未定です。状況に進展がございましたら改めてご案内いたします。」と伝えられていました。

参照:

当該特許第6025881号は、高純度PTH含有凍結乾燥製剤およびその製造方法に関するもので、以下の特許請求の範囲となっています(独立項のみ抜粋)。存続期間満了日は2032年5月31日。

【請求項1】

無菌注射剤の製造施設内における、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤の製造方法であって、PTHペプチド含有溶液調製工程の開始から凍結乾燥手段への搬入工程終了の間の工程のうち、少なくとも搬入工程を含む1以上のグレードAの環境を有する工程において、
PTHペプチド含有溶液と同無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを特徴とする方法であって、同PTHペプチド含有凍結乾燥製剤とは、当該製剤中のPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対するいずれのPTH類縁物質の量も1.0%以下であり、及びPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対する全PTH類縁物質量が5.0%以下であることを少なくとも意味する、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤の製造方法。

・・・

【請求項18】

無菌注射剤の製造施設内における、高純度のPTHペプチドを有効成分として含有する凍結乾燥製剤の製造方法であって、該製造方法は、グレードAの環境下、凍結乾燥前PTHペプチド含有溶液を凍結乾燥手段へ搬入する際に無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンと接触されるのを抑制したことを特徴とする方法であり、但し前記高純度とは、当該製剤中のPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対するいずれのPTH類縁物質の量も1.0%以下であり、及びPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対する全PTH類縁物質量が5.0%以下であることを少なくとも意味し、前記搬入工程は3時間以上にわたる工程であり、且つ前記グレードAの環境はHEPAフィルターを通過した清浄な空気が上から下方に向かって一方向の気流として維持されている環境であり、該HEPAフィルター直下20cmの位置の気流が0.2~1.0m/sの流速気流である、前記製造方法。

テリボン後発医薬品を巡る訴訟の経緯は、以下の記事を参照。

Fubuki
Fubuki

本件特許権は医薬品の製造方法の発明に関するものです。旭化成ファーマがどのように証拠を収集して沢井製薬の製造方法は侵害行為に該当すると立証することができたのか・・・興味あるところです。

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