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旭化成ファーマ テリボン®皮下注用56.5μgの後発品を巡る特許権侵害訴訟で大阪地裁が沢井製品の製造販売差止の仮処分命令を発出

旭化成ファーマの2023年9月5日付プレスリリース(テリボン®皮下注用56.5μgの後発品に対する特許権侵害差止 仮処分命令発令のお知らせ)によると、旭化成ファーマは、テリボン®皮下注用56.5μg(以下「本剤」)に関する製法特許(特許第6025881号、以下「本件特許権」)に基づき、沢井製薬に対して本剤の後発品である「テリパラチド皮下注用56.5μg『サワイ』」(以下「沢井製品」)の製造販売差止を求めていましたが(大阪地方裁判所令和4年(ヨ)第20011号)、9月4日付で大阪地方裁判所から沢井製薬に対し、沢井製品の製造、販売及び販売の申出をしてはならないとの仮処分命令が発出され、本件仮処分命令により、沢井製薬は、本件特許権の存続期間中、本件特許権の製法により製造した沢井製品の製造販売が禁止されるとのことです。

当該特許第6025881号は、高純度PTH含有凍結乾燥製剤およびその製造方法に関するもので、以下の特許請求の範囲となっています(独立項のみ抜粋)。

Fubuki
Fubuki

本件特許権は医薬品の製造方法の発明に関するものです。旭化成ファーマがどのように証拠を収集して沢井製薬の製造方法は侵害行為に該当すると立証することができたのか・・・興味あるところです。

【請求項1】

無菌注射剤の製造施設内における、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤の製造方法であって、PTHペプチド含有溶液調製工程の開始から凍結乾燥手段への搬入工程終了の間の工程のうち、少なくとも搬入工程を含む1以上のグレードAの環境を有する工程において、
PTHペプチド含有溶液と同無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを特徴とする方法であって、同PTHペプチド含有凍結乾燥製剤とは、当該製剤中のPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対するいずれのPTH類縁物質の量も1.0%以下であり、及びPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対する全PTH類縁物質量が5.0%以下であることを少なくとも意味する、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤の製造方法。

・・・

【請求項18】

無菌注射剤の製造施設内における、高純度のPTHペプチドを有効成分として含有する凍結乾燥製剤の製造方法であって、該製造方法は、グレードAの環境下、凍結乾燥前PTHペプチド含有溶液を凍結乾燥手段へ搬入する際に無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンと接触されるのを抑制したことを特徴とする方法であり、但し前記高純度とは、当該製剤中のPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対するいずれのPTH類縁物質の量も1.0%以下であり、及びPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対する全PTH類縁物質量が5.0%以下であることを少なくとも意味し、前記搬入工程は3時間以上にわたる工程であり、且つ前記グレードAの環境はHEPAフィルターを通過した清浄な空気が上から下方に向かって一方向の気流として維持されている環境であり、該HEPAフィルター直下20cmの位置の気流が0.2~1.0m/sの流速気流である、前記製造方法。

仮処分命令申立ての経緯は、以下の記事を参照。

旭化成ファーマ テリボン®(テリパラチド)に関する特許権侵害訴訟で沢井製薬後発品の差止仮処分命令の申立てへ
旭化成ファーマのプレスリリース(2022年10月7日)によると、旭化成ファーマは、2022年4月28日にお知らせしたとおり、沢井製薬に対して、同社が製造販売を行っている後発品「テリパラチド皮下注用56.5μg『サワイ』」について大阪地裁に特許権侵害訴訟を提起していましたが、2022年10月7日に、同事案に関して新たに仮処分命令の申立てを行ったとのことです。 2022.10.07 旭化成ファーマ p...
テリボン®皮下注用56.5μgに関する特許権侵害訴訟の提起について
旭化成ファーマのプレスリリース(2022年4月28日)によると、旭化成ファーマが製造販売承認を取得している骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(一般名:テリパラチド酢酸塩)に関する特許権(特許第6025881号)に基づき、沢井製薬が2022年2月15日付で製造販売承認を取得した同剤の後発品である「テリパラチド皮下注用56.5μg『サワイ』」の製造販売の差止等を求めて、2022年4月21...
  • 2021.06.21記事: テリパラチド酢酸塩に関する特許権について(3): 旭化成ファーマは、上記特許第6025881号を含むテリパラチド酢酸塩に関連する特許権を侵害する行為または侵害するおそれのある行為に対しては厳正なる法的処置を講じる旨を謹告文に掲載していました。
テリパラチド酢酸塩に関する特許権について(3)
旭化成ファーマ(株)は、ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分であるN端側の1-34ペプチド断片であるテリパラチド(Teriparatide)酢酸塩を有効成分とする週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン(TERIBONE)®皮下注用56.5μg」を製造販売しています(再審査期間は終了、2011年9月26日~2017年9月25日(6年))。 2021年6月21日付の「【謹告】テリパラチド酢酸塩に...

コメント

  1. Fubuki Fubuki より:

    2024年5月 沢井製薬ホームページ「テリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」の供給に関するお詫びとお願い」
    https://med.sawai.co.jp/file/pr27_4775_1.pdfより

    「骨粗鬆症治療剤『テリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」』につきまして、大阪地方裁判所から弊社に対して、旭化成ファーマ株式会社の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(一般名:テリパラチド酢酸塩)に関する特許に基づき、製造販売差止仮処分命令が発出されました。
    本仮処分命令により、弊社からのテリパラチド皮下注用56.5μg「サワイ」の出荷を2023年9月5日から停止させていただいており、現在のところ出荷再開時期は未定です。状況に進展がございましたら改めてご案内いたします。」

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