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テリボン®皮下注用56.5μgに関する特許権侵害訴訟の提起について

旭化成ファーマのプレスリリース(2022年4月28日)によると、旭化成ファーマが製造販売承認を取得している骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(一般名:テリパラチド酢酸塩)に関する特許権(特許第6025881号)に基づき、沢井製薬が2022年2月15日付で製造販売承認を取得した同剤の後発品である「テリパラチド皮下注用56.5μg『サワイ』」の製造販売の差止等を求めて、2022年4月21日付で、沢井製薬に対して大阪地方裁判所に特許権侵害訴訟を提起したとのことです。

当該特許第6025881号は、高純度PTH含有凍結乾燥製剤およびその製造方法に関するもので、以下の特許請求の範囲となっています(独立項のみ抜粋)。

【請求項1】

無菌注射剤の製造施設内における、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤の製造方法であって、PTHペプチド含有溶液調製工程の開始から凍結乾燥手段への搬入工程終了の間の工程のうち、少なくとも搬入工程を含む1以上のグレードAの環境を有する工程において、
PTHペプチド含有溶液と同無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを特徴とする方法であって、同PTHペプチド含有凍結乾燥製剤とは、当該製剤中のPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対するいずれのPTH類縁物質の量も1.0%以下であり、及びPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対する全PTH類縁物質量が5.0%以下であることを少なくとも意味する、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤の製造方法。

・・・

【請求項18】

無菌注射剤の製造施設内における、高純度のPTHペプチドを有効成分として含有する凍結乾燥製剤の製造方法であって、該製造方法は、グレードAの環境下、凍結乾燥前PTHペプチド含有溶液を凍結乾燥手段へ搬入する際に無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンと接触されるのを抑制したことを特徴とする方法であり、但し前記高純度とは、当該製剤中のPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対するいずれのPTH類縁物質の量も1.0%以下であり、及びPTHペプチド量と全PTH類縁物質量の和に対する全PTH類縁物質量が5.0%以下であることを少なくとも意味し、前記搬入工程は3時間以上にわたる工程であり、且つ前記グレードAの環境はHEPAフィルターを通過した清浄な空気が上から下方に向かって一方向の気流として維持されている環境であり、該HEPAフィルター直下20cmの位置の気流が0.2~1.0m/sの流速気流である、前記製造方法。

旭化成ファーマは、上記特許第6025881号を含むテリパラチド酢酸塩に関連する特許権を侵害する行為または侵害するおそれのある行為に対しては厳正なる法的処置を講じる旨を謹告文に掲載していました(「テリパラチド酢酸塩に関する特許権について」(2021年6月21日 日刊薬業))。

テリパラチド酢酸塩に関する特許権について(3)

テリパラチド酢酸塩に関する特許権について(3)
旭化成ファーマ(株)は、ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分であるN端側の1-34ペプチド断片であるテリパラチド(Teriparatide)酢酸塩を有効成分とする週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン(TERIBONE)®皮下注用56.5μg」を製造販売しています(再審査期間は終了、2011年9月26日~2017年9月25日(6年))。 2021年6月21日付の「【謹告】テリパラチド酢酸塩に...

特許第6025881号 【図2】より

謹告文では、テリパラチド酢酸塩を有効成分とする凍結乾燥製剤等に関する特許権11件(日本特許第5922833号、同第5960935号、同第5996824号、同第6031633号、同第6057492号、同第6025881号、同第6258426号、同第6487597号、同第6467102号、同第6510737号、同第6830136号)を保有していると伝えていました。

特許第6025881号に係る特許権以外での特許権に基づいた侵害訴訟を提起する可能性も今後あるのでしょうか。

また、同謹告文には、テリパラチド酢酸塩を有効成分とする骨粗鬆症治療剤ないし予防剤に関する特許権7件(日本特許第6522715号、同第6150846号、同第6043008号、同第6198346号、同第6275900号、同第6274634号、同第6301524号)を保有しているとも伝えられましたが、以下のとおり、知財高裁が次々とそれら特許を無効とする判断をしています。

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