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2021年5月24日、米国最高裁は、抗PD-1抗体等に関する米国特許(いわゆる「本庶特許」)に共同発明者の追加を認めたCAFC判決には明らかな法的問題があると主張する小野薬品、本庶氏、BMSによる請願書を却下しました(”Petition DENIED. Justice Breyer took no part in the consideration or decision of this petition.”)。
小野薬品、本庶氏、BMSは、抗PD-1抗体等に関する6つの米国特許(いわゆる「本庶特許」)の共同発明者としてWood氏とDana-Farber Cancer InstituteのFreeman氏の2名が追加されるべきであるとした米国マサチューセッツ州連邦地裁判決を支持した米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)判決には明らかな法的問題があると主張して、米国最高裁判所に上訴を取り上げるよう請願書(petition for a writ of certiorari)を提出していました(Ono Pharmaceutical Co., Ltd., et al., Petitioners v. Dana-Farber Cancer Institute, Inc. No. 20-1258 (U.S. Supreme Court))。
本件と並行して、Freeman氏から本発明に関する権利および利益を譲り受けたDana-Farber Cancer Instituteは、小野薬品およびBMSが本庶特許の独占的所有者として競合他社から受けているライセンス収入の一部利益を受ける権利を有していると主張し、米国マサチューセッツ州連邦地裁に提訴しています。
本件において発明者の追加が決定的となり、米国ではDana-Farber Cancer Instituteが本庶特許の共有権利者として加わることになるため、上記マサチューセッツ州連邦地裁で争われている事件の判断に影響することになります。
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2021.05.25 Dana-Farber press release: Statement regarding U.S. Supreme Court action on patent lawsuit
https://www.dana-farber.org/newsroom/news-releases/2021/statement-regarding-u-s–supreme-court-action-on-patent-lawsuit/