2021年4月5日付、興和のプレスリリース「高コレステロール血症治療剤「リバロ」の特許権侵害に対する損害賠償請求訴訟の提起について 」によると、興和は、興和が保有する高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」(一般名:ピタバスタチンカルシウ
ム)に係る医薬特許(特許第5190159号、以下「本件特許」)の侵害に対する損害賠償請求訴訟を、後発医薬品である『ピタバスタチン Ca・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』を製造販売する東和薬品に対し、2021年3月30日付で東京地方裁判所に提起した、とのことです。
毎年のこの時期恒例となっていますが、決着はまだまだでしょうか。
2020.04.28過去記事: 「東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で追加の損害賠償請求」
東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で追加の損害賠償請求
2020年4月6日の東和薬品プレスリリースによると、高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)の後発医薬品であって東和薬品が製造販売する『ピタバスタチンCa・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』について、 興和から、同社が有する製剤特許(特許第5190159号と思われます)を侵害しているとして、下記の先行訴訟における損害賠償請求とは別に、2017年4月1日から...
訴訟内容
- 東和薬品による本件特許の侵害行為に対する損害賠償請求
- 請求金額:56億1,814万円
2018年4月から2019年3月までの1年間における東和薬品の『ピタバスタチン Ca・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』販売分に関して
経緯
- 興和は、2015年10月30日付にて東和薬品に対し、本件特許の侵害を理由として『ピタバスタチン Ca・OD錠 4mg「トーワ」』の製造販売の差し止めを求める訴訟を東京地方裁判所に提起し、東京地方裁判所は興和の請求を全面的に認める判決を下しました(2017.09.29 「興和 v. 東和薬品」 東京地裁平成27年(ワ)30872)。
2017.09.29 「興和 v. 東和薬品」 東京地裁平成27年(ワ)30872
医薬特許に対する先使用権の抗弁が認められなかった事例:東京地裁平成27年(ワ)30872 【背景】 東和薬品(被告)がピタバスタチンCa・OD錠4mg「トーワ」(被告製品)を製造等する行為は興和(原告)が保有する特許権(第5190159号)を侵害すると主張して、原告が被告製品の製造等の差止及び廃棄を求めた事案。原告は弁論準備手続期日において請求項1に基づく請求を撤回、被告は被告製品が本件発明2の技...
- その後、東和薬品による知的財産高等裁判所への控訴は棄却され(2018.04.04 「東和薬品 v. 興和」 知財高裁平成29年(ネ)10090)、
2018.04.04 「東和薬品 v. 興和」 知財高裁平成29年(ネ)10090
医薬特許に対する先使用権の抗弁が認められなかった事例(控訴審): 知財高裁平成29年(ネ)10090 【背景】 東和薬品(控訴人・原審被告)がピタバスタチンCa・OD錠4mg「トーワ」(被告製品)を製造等する行為は興和(被控訴人)が保有する特許権(第5190159号)を侵害すると主張して、興和が被告製品の製造等の差止及び廃棄を求めた事案。原審は、東和薬品は先使用権を有するとは認められず、本件発明2...
- さらに東和薬品による最高裁判所への上告受理申立は不受理となり、製造販売の差し止め判決は確定しました。
- 興和は、上記の製造販売差止請求訴訟に加えて、これまで東和薬品に対して、同社の『ピタバスタチン Ca・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』の販売により損害を受けたとして、同製品の販売開始時期(2013年12月)から2018年3月末日までの期間における同製品の販売分に関して131億9,303万0,400円の損害賠償請求訴訟を提起しており(2020.04.28過去記事: 「東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で追加の損害賠償請求」)、
東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で追加の損害賠償請求
2020年4月6日の東和薬品プレスリリースによると、高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)の後発医薬品であって東和薬品が製造販売する『ピタバスタチンCa・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』について、 興和から、同社が有する製剤特許(特許第5190159号と思われます)を侵害しているとして、下記の先行訴訟における損害賠償請求とは別に、2017年4月1日から...
- 今回の提訴により、興和から東和薬品への損害賠償請求額は総額で188億1,117万0,400円となります。
無効審判
本件特許第5190159号については、東和薬品により請求された無効審判(無効2018-800092号)について、当該特許の請求項1ないし2に記載された発明についての特許を無効とする審決が確定しています・・・。ですが、残る請求項に対してでしょうか、新たに無効審判が請求されているようです(2020-800121)。存続期間満了日は2032年8月8日。
東和薬品の第65期第3四半期報告書(2021年02月12日掲載)によると、東和薬品は、本件訴訟において、「特許無効を主張し、争っていく方針であります」としています。
コメント
2021.04.14 東和薬品 press release: 当社に対する損害賠償請求訴訟の提起に関するお知らせ
https://www.towayakuhin.co.jp/pdf/news210414.pdf
「当社は、先行訴訟及び特許無効審判(2018年7月の申立てに対しては2020年9月に特許一部無効の審決が確定し、2020年12月に新たに申立てた無効審判請求が現在係属中)において、特許無効を主張して争っており、本件訴訟についても同様に争っていく方針です」