2020年6月22日付の大日本住友製薬のプレスリリース(非定型抗精神病薬「LATUDA®」の用途特許に関する米国特許商標庁へのInter Partes Reviewの申立てについて)によると、米国における非定型抗精神病薬「LATUDA®」(一般名:ルラシドン塩酸塩、以下「ラツーダ」ともいう)の用途特許(米国特許番号:9,815,827)に関して、Slayback Pharma社によるInter Partes Review の申立てがなされたとのことです(IPR2020-01053: Slayback Pharma LLC v. Sumitomo Dainippon Pharma Co., Ltd.)。
2018年11月27日付の大日本住友製薬プレスリリース(米国における非定型抗精神病薬「LATUDA®」の後発品申請に対する特許侵害訴訟に関する紛争終結)によると、大日本住友製薬および大日本住友製薬の米国子会社であるサノビオン社と米国の複数の後発品メーカーとの間の和解契約により、米国の複数の後発品メーカーは、2023年2月20日以降、「LATUDA®」の後発品を米国で販売することができる、ということで特許紛争は決着していました・・・と思いきや、今回Inter Partes Reviewの申立てがなされたことで、特許性がまた争われることになりそうです。
「ラツーダ」は、大日本住友製薬が創製したルラシドン塩酸塩(lurasidone HCl)を有効成分とする非定型抗精神病薬。米国では、2010年10月28日に成人における統合失調症治療薬として承認され、2011年2月より「LATUDA®」の販売名でサノビオン社が販売しています。
大日本住友製薬グループの収益の柱である「ラツーダ」の北米での売上収益は、大日本住友製薬連結売上収益の約40%を占めています。
大日本住友製薬は、「中期経営計画2022」において、ポスト・ラツーダ、すなわち、2023年2月20日以降に米国において「LATUDA®」の後発医薬品の市場参入が可能となる将来の事業環境を見据えつつ、「変革の時」に対応するため、「成⻑エンジンの確⽴」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」を基本方針として掲げ、事業基盤の再構築に取り組んでいます(2020.03.03 ⼤⽇本住友製薬 R&D説明会資料 page7)。
「ラツーダ独占販売期間終了後の2023年度は、ラツーダの大幅減収により減益の可能性があるが、新製品群の成長により早期にカバーし、持続的な成長を目指す」
2019.04.12 中期経営計画2022 page 39
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