バイエルの炭酸ランタンOD錠特許 サポート要件満たさず無効: 知財高裁平成31年(行ケ)10003
「ランタン化合物を含む医薬組成物」に関する特許(第6093829号)を保有するバイエル薬品(原告)は、特許庁が無効2017-800104号事件(請求人: コーアイセイ)についてした審決のうちサポート要件違反を理由に特許無効とした部分の取消しを求めて審決取消訴訟を提起した。裁判所も、バイエル薬品主張の取消事由は理由がなく審決に取り消されるべき違法があるとは認められないとして、バイエル薬品による無効部分の取消請求を棄却した。
請求項6:
唾液又は少量の水により,口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする口腔内崩壊錠であって,崩壊剤及び医薬組成物中の含有率が70~90質量%で炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有し,前記崩壊剤が,クロスポビドンであり,前記クロスポビドンの医薬組成物中の含有率が5.6~12質量%であり,但し,崩壊剤がGRANFILLER-D(登録商標)から成る錠剤は除く,医薬組成物。
裁判所の判断(抜粋):
「特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
・・・原告が本件発明の実施例であると主張する実施例4においては・・・「明らかなひび・割れ・欠け」の個数が12錠中7錠であり,摩損度が0.4%とする実施例4の摩損度の評価の記載を,日本薬局方参考情報における錠剤の摩損度試験法で「明らかなひび・割れ・欠け」が見られる錠剤があるときはその試料は不適合であるとされていることとの関係で一義的に整合するように理解することができない。そして,本件明細書には「明らかなひび・割れ・欠け」の個数が12錠中7錠である実施例4の場合に,どのような方法で摩損度を測定した結果0.4%という数値を得たのかに関する説明はなく,この点についての当業者の技術常識を示す的確な証拠もない。
以上によれば,当業者は,本件明細書の実施例4の記載から,当該実施例において低い摩損度を含む本件課題が実現されていることを理解することができないし,本件明細書のその余の部分にも,本件発明が,「高い原薬含有率で,速やかな崩壊性,高い硬度及び低い摩損度を両立した炭酸ランタンの口腔内崩壊錠を提供する」という本件課題を解決できることを示唆する記載はなく,この点に関する技術常識を示す的確な証拠もない。したがって,・・・本件発明がサポート要件に適合するものということはできない。」
【コメント】
本件では、実施例の記載から、課題が解決されていることを理解することができなかったため、サポート要件違反と判断された。
本件特許は、おそらくホスレノール®(炭酸ランタン)のOD錠を保護するものだったと思われる。ホスレノール®を保護する特許としては他に特許3224544(「高リン酸塩血症の治療のための医薬組成物」に関する用途特許)がある。用途特許3224544については、下記過去記事参照。
以下に、ホスレノール®の製品ヒストリー、特許ヒストリー、ジェネリックメーカーの動きを時系列で示すとともに、用途特許は無効判断されてしまったが、延長された用途特許が有効に存続していたと仮定した場合においてそれぞれの延長特許の効力が各剤形にどのように及ぶと考えられるかについて考察を行った。
以下の表は、ホスレノール®(炭酸ランタン)のヒストリー(日本)
製品ヒストリー
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特許ヒストリー
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ジェネリックメーカーの動き
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用途特許3224544
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OD錠特許6093829
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1996
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3/19 出願
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1998
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シャイア社により第I相臨床試験実施
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2003
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バイエル薬品が国内開発・製造販売権獲得
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2008
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10/16 ホスレノール(チュアブル錠250/500mg)が「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」の効能効果の承認
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延長出願2009-700005; 2009-700006(いずれも5年~2021年3月19満了)
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2012
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1/25 顆粒分包250mg承認
2/1 顆粒分包500mg承認
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延長出願2012-700074(2年1月9日~2018年4月満了)
延長出願2012-700075(2年1月16日~2018年4月満了)
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2013
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8/20 「慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」に適応拡大
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延長出願2013-700227; 2013-700228; ; 2013-700229; 2013-700230 (いずれも3年5月9日~2019年8月満了)
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2015
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10/2 出願
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2016
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~10/15 再審査期間(8年)
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3/19 満了日(20年)
9/15 沢井が特許無効審判を請求
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11/30 早期審査請求
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2017
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2/6 OD錠250/500mg承認
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8/7 沢井の無効審判請求が不成立審決
9/8 沢井が審決取消訴訟を提起
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2/17 特許登録
3/8 特許公報発行
8/4 コーアイセイが特許無効審判を請求
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2018
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4月 顆粒分包承認(2012)に基づく期間延長満了
8/19 無効審判請求不成立審決を取消す判決
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9/3 バイエルがOD錠ジェネリックの製造販売差止め求め東京地裁に特許侵害訴訟提起
12/12 コーアイセイの特許無効審判請求により特許一部無効審決
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顆粒分包
「サワイ」2/15承認; 6/15薬価収載・発売
「トーワ」2/15承認; 6/15薬価収載・発売
「フソー」2/15承認; 6/15薬価収載・発売
「YD」2/15承認; 6/15薬価収載; 6/25発売
「ケミファ」2/15承認; 6/15薬価収載; 9/14発売
「JG」2/15承認; 12/14薬価収載・発売
「共創未来」2/15承認; 薬価未収載
「日新」2/15承認; 薬価未収載
「ニプロ」8/15承認; 12/14薬価収載・発売
OD錠
「イセイ」2/15承認; 6/15薬価収載; 9/3発売
「ケミファ」2/15承認; 6/15薬価収載後削除;
「フソー」2/15承認; 薬価未収載
「JG」2/15承認; 薬価未収載
「NP」2/15承認; 薬価未収載
以上全て効能効果「慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」
2/21 東和薬品が「炭酸ランタン水和物に関する特許権について」の謹告文が掲載
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2019
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8月 適応拡大承認(2013)に基づく期間延長満了
10/16 特許無効審決
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1/11 バイエルが特許無効部分の審決取消訴訟を提起
2/21 バイエルが特許侵害訴訟でコーアイセイに対して特許法105条1項に基づく書類提出命令の申立て
4/11東京地裁が特許侵害訴訟で書類提出命令の申立てを却下
7/31 バイエルが特許侵害訴訟の控訴を取下げ
11/11 バイエルによる審決取消訴訟が請求棄却判決
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以下表に、処分毎の各特許満了日(期間延長満了日)を整理した。下記の註※1及び※2についての考察の根底にある個人的・希望的解釈は、基本的には、延長特許権の効力が及ぶ実質同一物の範囲は、特許発明との関連を第一に見ることによって判断する、すなわち、特許請求の範囲に含まれる「ジェネリック」(処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては、当該用途に使用されるその物)には延長効力が基本及ぶとするものである。
処分対象用途
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処分対象物
ホスレノール
(2008.10.16初承認)
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用途特許
3224544
1996.3.19出願
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OD錠特許
6093829
2015.10.2出願
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透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善
(2008.10.16承認)
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チュアブル錠
250mg
(2008.10.16承認)
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特願2009-700005
+5y
~2021.3.19※1
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–
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チュアブル錠
500mg
(2008.10.16承認)
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特願2009-700006
+5y
~2021.3.19※1
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–
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顆粒分包
250mg
(20012.1.25承認)
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特願2012-700074
+2y1m9d
~2018.4.28※2
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–
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顆粒分包
500mg
(2012.2.1承認)
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特願2012-700075
+2y1m16d
~2018.5.5※2
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–
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慢性腎臓病患者における高リン血症の改善(透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善を除く)
(2013.8.20承認)
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チュアブル錠
250mg
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特願2013-700227
+3y5m9d
~2019.8.28
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–
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チュアブル錠
500mg
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特願2013-700228
+3y5m9d
~2019.8.28
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–
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顆粒分包
250mg
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特願2013-700229
+3y5m9d
~2019.8.28
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–
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顆粒分包
500mg
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特願2013-700230
+3y5m9d
~2019.8.28
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–
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慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
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OD錠250mg
(2017.2.6承認)
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延長出願無し
~2016.3.19
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延長出願無し
~2035.10.2
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OD錠500mg
(2017.2.6承認)
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延長出願無し
~2016.3.19
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延長出願無し
~2035.10.2
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註※1:知財高裁判決(2017.01.20 「デビオファーム v. 東和薬品」 知財高裁平成28年(ネ)10046)で示されたように、延長特許権の効力は実質同一物にまで及び、その範囲は「特許発明の内容との関連で、技術的特徴及び作用効果の同一性を比較検討して判断する」との一般原則に照らせば、これら延長用途特許権の効力が及ぶ実質同一の範囲は、具体的な製剤成分の一致に拘るのではなく、特許発明の内容(用途)との関連で同一性を比較検討して判断されると考えられる。これら延長用途特許の効力がどのようなジェネリックに及ぶかについて考えるにあたり、ジェネリックがチュアブル錠であるか、顆粒分包であるか、OD錠であるか、あるいは250mgまたは500mgであるか・・・よりも、重要なのは、延長されたのは「高リン酸塩血症の治療のための医薬組成物」という用途発明であることである。すなわち、特許発明(用途発明)の内容との関連で、「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」の効能・効果で一致するジェネリックなら、どの剤形であっても実質同一物として、延長期間が満了するはずだった2021年3月19日まで延長特許権の効力が及んでいたと考えることができる。
2018年8月19日の特許無効審決がでる前の同年2月15日にジェネリックが承認されたことは、パテントリンケージを厚労省が解いたことを意味する。日本のパテントリンケージにおいて行政判断の一貫性は担保されているのか疑問である(この点は、過去記事(2018.09.19 「沢井製薬 v. シャイア」 知財高裁平成29年(行ケ)10171で取り上げた)。厚労省は「医療用後発医薬品の薬事法上の承認審査及び薬価収載に係る医薬品特許の取扱いについて(平成21年6月5日付け医政経発第0605001号/薬食審査発第0605014号)」及び「承認審査に係る医薬品特許情報の取扱いについて(平成6年10月4日付け薬審第762号審査課長通知)」において、後発医薬品の薬事法上の承認審査にあたっては、先発医薬品の一部の効能・効果等に特許が存在する効能・効果等については承認しない方針であるとしている。もし、用途特許が存在すると認識していたにもかかわらず、延長特許権の効力は不透明だからとパテントリンケージを運用せずに当事者どうしの紛争解決に委ねているとしたら、それはリンケージではない。
註※2: 顆粒分包の承認に基づいたこれら延長用途特許権の効力は、上記※1で考察したことと同様に、特許発明の内容(「高リン酸塩血症の治療のための医薬組成物」という用途)との関連で「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」の効能・効果で一致するジェネリックなら顆粒分包だけでなくどの剤形であっても、延長期間が満了するはずだった2018年4月28日または同年5月5日まで延長特許権の効力が及ぶとまずは考えてよいのではないだろうか(しかし、上記※1の延長特許期間満了日(2021年3月19日)を越えないため、上記※1の延長特許権が存在する限り、※2の延長は価値がないとも考えられる)。但し、※2の延長登録出願審査の際に、先行処分であるチェアブル錠を除くような主張をしたり、後に承認されるOD錠など他の剤形や製剤成分を除くような主張をしたり等、特段の事情がある場合には、※2の延長特許権は、それらの剤形や製剤成分であるジェネリックに対して効力は及ばない(またはその部分については延長登録に無効理由が存在する)と考えればよいのではないだろうか。
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コメント
いつも興味深くブロクを拝見しております。
延長された特許権の効力についてのお考えに賛成です。
物質特許や用途特許のような基本特許については、製剤の添加剤や剤形にとらわれず、延長の効力が広く認められるべきと思います。
個人的な見解ですが、厚生労働省は、個々のジェネリック企業ごとでパテントリンケージを判断しない傾向にあると考えています。炭酸ランタンのケースでは、もし全てのジェネリックが4水和物を使用していれば、リンケージかかっていた思いますが、クレームの範囲から外れた8水和物を使用するジェネリックが多く存在したため、リンケージがかからなかったと推測しています。
コメントありがとうございました。
【追記】
2020.08.28 コーアイセイ press release: 審決取消請求上告・上告受理申立事件の棄却について
http://www.isei-pharm.co.jp/files/%E5%AF%A9%E6%B1%BA%E5%8F%96%E6%B6%88%E8%AB%8B%E6%B1%82%E4%B8%8A%E5%91%8A%E3%83%BB%E4%B8%8A%E5%91%8A%E5%8F%97%E7%90%86%E7%94%B3%E7%AB%8B%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E6%A3%84%E5%8D%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%20.pdf