オキサリプラチンが分解して生じた解離シュウ酸は「緩衝剤」には当たらない: 知財高裁平成29年(ネ)10034
「オキサリプラチン溶液組成物ならびにその製造方法及び使用」に関する特許権(第4430229号)を有する控訴人(一審原告:デビオファーム)が、被控訴人(一審被告:ナガセ医薬品)(日本ケミファは補助参加人)に対し、被控訴人各製品の生産等が特許権侵害に当たると主張して、被控訴人各製品の生産等の差止及び廃棄を求めた事案。原判決は、本件特許は進歩性欠如により無効にされるべきものであるとして控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人は本件控訴を提起した。
知財高裁(第4部)は、
「争点(1)(技術的範囲への属否)について,本件各発明における「緩衝剤」としての「シュウ酸」は,添加シュウ酸に限られ,解離シュウ酸を含まないものと解されるところ,解離シュウ酸を含むのみで,シュウ酸が添加されていない被告製品は,本件各発明の技術的範囲に属するものではないから,控訴人の請求はいずれも棄却すべき」
と判断し、請求を棄却した原判決は結論において相当であるから、本件控訴を棄却した。
参考:
- 原審: 2017.01.26 「デビオファーム v. ナガセ医薬品・日本ケミファ」 東京地裁平成27年(ワ)29159
- 2017.07.11 日本ケミファ press release: オキサリプラチン点滴静注液 50mg/10mL・100mg/20mL・200mg/40mL「ケミファ」に関する特許権侵害差止請求控訴審 勝訴のお知らせ
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