オキサリプラチンが分解して生じた解離シュウ酸は「緩衝剤」には当たらない: 東京地裁平成27年(ワ)29158
「オキサリプラチン溶液組成物ならびにその製造方法及び使用」に関する特許権(第4430229号)を有する原告(デビオファーム)が、被告(共和クリティケア)に対し、被告製品の製造等が特許権侵害に当たると主張して、被告製品の製造等の差止及び廃棄を求めた事案。
本件発明の構成要件「緩衝剤」であるシュウ酸は、オキサリプラチン水溶液中に存在すれば足りるのか、水溶液に添加されたシュウ酸に限定されるのか、すなわち、被告製品が特許発明の技術的範囲に属するのかどうかが争点である。
裁判所(民事40部)は、本件明細書の記載(特許法70条2項)、本件発明の目的及び原告(デビオファーム)の対応米国特許・対応ブラジル特許の出願経過を考慮すると、本件発明における「緩衝剤」は、添加されたシュウ酸又はそのアルカ リ金属塩をいい、オキサリプラチンが分解して生じた解離シュウ酸は「緩衝剤」には当たらないと解することが相当であるとして、シュウ酸又はそのアルカ リ金属塩が添加されていない被告各製品は、構成要件の「緩衝剤」を充足せず、本件発明の技術的範囲に属しないものと判断した。
請求棄却。
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