フィナステリド(プロペシア®錠後発品)の特許権侵害差止請求事件: 知財高裁平成27年(ワ)12609 (別紙)
【背景】
「5α-レダクターゼ阻害剤によるアンドロゲン脱毛症の治療方法」に関する特許権(第3058351号)を有する原告(メルク シャープ アンド ドーム)が被告(ファイザー)に対し被告各製品は特許発明(請求項1)の技術的範囲に属し、かつ、存続期間延長登録を受けた本件特許権の効力は被告による被告各製品の製造販売等に及ぶと主張して被告各製品の製造販売等の差止め及び廃棄を求めた事案。マイラン製薬が被告補助参加人として参加。
本件訂正後請求項1:
単位用量として0.05~1mgの5α-レダクターゼ2阻害剤および医薬的に許容可能なキャリヤーより成る,ヒトにおけるアンドロゲン脱毛症治療用経口剤型医薬組成物。
存続期間の延長登録:
1 出願番号2006-700003: 処分対象物はフィナステリド、処分はプロペシア錠1mg
2 出願番号2006-700004: 処分対象物はフィナステリド、処分はプロペシア錠0.2mg
被告各製品:
1 フィナステリド錠0.2mg「ファイザー」
2 フィナステリド錠1mg「ファイザー」
【要旨】
本件訂正発明は,本件発明における「単位用量として0.05~3mgの5α-レダクターゼ2阻害剤」を「単位用量として0.05~1mgの5α-レダクターゼ2阻害剤」と限定したものであることが認められるところ,前記前提事実,証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件訂正発明は,進歩性を欠くものと認められる(本件無効審決は,これと同旨の認定判断をしており,本件知財高裁判決は,同認定判断に誤りがある旨の原告の主張をすべて排斥している。)から,本件発明が少なくとも進歩性を欠き,本件訂正1によっても当該無効理由が解消しないことが明らかである。したがって,本件発明についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない(特許法104条の3)。
上記に反する原告の主張は,いずれも採用することができない。請求棄却。
【コメント】
存続期間が延長された本件特許権の効力が被告による被告各製品の製造販売等に及ぶかについても争点だったが、裁判所は判断しなかった。判決文を見る限り、存続期間が延長された本件特許権の効力についての原告・被告の主張において特段の議論はされていない。進歩性の判断については下記判決を参照。
参照:
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