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抗悪性腫瘍剤アリムタ®のビタミン療法特許の無効審判で特許維持審決

日本イーライリリー(株)のpress release(2015.12.15 「抗悪性腫瘍剤アリムタ®のビタミン療法特許に関する特許庁の特許維持審決について」)によれば、抗悪性腫瘍剤アリムタ®(ペメトレキセド注射剤)に関する2件のビタミン療法特許(特許第5102928号及び特許第5469706号)に関し、沢井製薬(株)が請求した無効審判(無効2014-800039及び無効2014-800063)において、特許庁がそれぞれ有効なものとして維持する審決を下したとのこと(本件特許は2021年6月まで有効に存続するとしている)。

請求人(沢井製薬)は、本件特許には進歩性欠如(無効理由1)、実施可能要件違反(無効理由2)及びサポート要件違反(無効理由3)が存在する旨を主張したが、特許庁は、いずれも理由がないとして本件審判の請求は成り立たない、と結論した。

J-PlatPatの経過情報によれば、両事件は2015年12月18日及び2016年1月5日に知財高裁に出訴されたようである(平成27年(行ケ)10249、平成28年(行ケ)10001)。

特許5102928 請求項1:

葉酸とビタミンB12との組み合わせを含有するペメトレキセート二ナトリウム塩の投与に関連する毒性を低下しおよび抗腫瘍活性を維持するための剤であって、
ペメトレキセート二ナトリウム塩の有効量を、葉酸の約0.1mg~約30mgおよびビタミンB12の約500μg~約1500μgと組み合わせて投与し、該ビタミンB12をペメトレキセート二ナトリウム塩の第1の投与の約1~約3週間前に投与し、そして該ビタミンB12の投与をペメトレキセート二ナトリウム塩の投与の間に約6週間毎~約12週間毎に繰り返すことを特徴とする、該剤。

特許5469706 請求項1:

葉酸及びビタミンB12と用いられる、ペメトレキセート二ナトリウム塩を含有するヒトにおける腫瘍増殖を抑制するための医薬であって、下記レジメで投与される医薬:
a.有効量の該医薬を投与し;
b.葉酸の0.3mg~5mgを、該医薬の投与前に投与し;そして、
c.ビタミンB12の500μg~1500μgを、該医薬の第1の投与の1~3週間前に投与し、
該レジメは、該医薬の毒性の低下および抗腫瘍活性の維持を特徴とする、
上記医薬。

抗悪性腫瘍剤アリムタ®(有効成分はペメトレキセドナトリウム水和物(Pemetrexed Sodium Hydrate))は複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害する葉酸拮抗剤。日本では、悪性胸膜中皮腫に対しては2007年1月に承認(再審査期間は~2015年1月3日)、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に関しては2009年5月に承認(再審査期間は同じく~2015年1月3日まで)。

抗悪性腫瘍剤アリムタ®における<用法・用量に関連する使用上の注意>には以下の記載があり、本件特許はこの用法用量を保護するものである。

1. 本剤による重篤な副作用の発現を軽減するため、以下のように葉酸及びビタミン B12を投与すること。

(1) 葉酸:本剤初回投与の 7 日以上前から葉酸として 1 日 1 回 0.5mg を連日経口投与する。なお、本剤の投与を中止又は終了する場合には、本剤最終投与日から 22 日目まで可能な限り葉酸を投与
する。

(2) ビタミン B12:本剤初回投与の少なくとも 7 日前に、ビタミン B12として 1 回 1mg を筋肉内投与する。その後、本剤投与期間中及び投与中止後 22 日目まで 9 週ごと(3 コースごと)に 1 回投与する。

特許第5102928号(特願2002-506715; 出願日2001.06.15; 特表2004-501964; 存続期間満了日2021.06.15)については依然として下記無効審判が係属中。

  • 無効2015-800059(請求人: ホスピーラ・ジャパン)
  • 無効2014-800208(請求人: ニプロ)

特許第5469706号(特願2012-144570(特願2002-506715の分割); 特開2012-180381; 存続期間満了日2021.06.15)については依然として下記無効審判が係属中。

  • 無効2015-800006(請求人: ニプロ)
  • 無効2014-800214(請求人: ホスピーラ・ジャパン)

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