ピタバスタチンのピタバとPITAVA(その13): 知財高裁平成27年(ネ)10073
【背景】
2015.04.27 「興和 v. 共和薬品工業」 東京地裁平成26年(ワ)766の控訴審。原判決は、被控訴人による被控訴人標章1~3の使用が商標的使用に該当せず、また、本件商標は公序良俗に反する商標(商標法4条1項7号)であるから本件商標権を行使することはできない(商標法39条,特許法104条の3第1項)として控訴人の請求をいずれも棄却していた。
【要旨】
裁判所は、被控訴人が被控訴人各商品の包装に被控訴人標章1~3を付して被控訴人各商品を販売したことは、商標的使用ではなく、被控訴人の行為は、本件商標権を使用する権利(商標法25条)の侵害行為(同法36条1項)又は侵害とみなされる行為(同法37条1号)には該当しないと判断し、控訴人の控訴を棄却した。
【コメント】
本件で、7件全てのピタバスタチン後発品に対する商標権侵害訴訟は決着がついたと思われる。知財高裁各部の判断は結論は同じだが、それぞれの理由は異なる。要約すると、被控訴人各商品の販売についての各裁判所の理由の概要は下記のとおり。
知的財産高等裁判所第1部(裁判長裁判官 設樂隆一)
- 2015.09.09 「興和 v. 小林化工」 知財高裁平成26年(ネ)10137: 商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する商標である(商標法26条1項2号)。
知的財産高等裁判所第2部(裁判長裁判官 清水節)
- 2015.07.23 「興和 v. 東和薬品」 知財高裁平成26年(ネ)10138: 商標的使用でない。
- 2015.10.22 「興和 v. 共和薬品工業」 知財高裁平成27年(ネ)10073: 商標的使用でない。
知的財産高等裁判所第3部(裁判長裁判官 大鷹一郎)
- 2015.10.21 「興和 v. テバ」 知財高裁平成27年(ネ)10074: 商標的使用でない(商標法26条1項6号)。
知的財産高等裁判所第3部(裁判長裁判官 鶴岡稔彦)
- 2015.06.08 「興和 v. ニプロ」 知財高裁平成26年(ネ)10128: 商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する商標である(商標法26条1項2号)。
知的財産高等裁判所第4部(裁判長裁判官 富田善範)
- 2015.07.16 「興和 v. Meiji Seikaファルマ」 知財高裁平成26年(ネ)10098: 商標的使用でない(商標法26条1項6号)、商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する商標である(商標法26条1項2号)。
- 2015.08.27 「興和 v. 沢井製薬」 知財高裁平成26年(ネ)10129: 商標的使用でない(商標法26条1項6号)、商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する商標である(商標法26条1項2号)。
関連判決(ピタバスタチンのピタバとPITAVA(その1~12):
- 原審: 2015.04.27 「興和 v. 共和薬品工業」 東京地裁平成26年(ワ)766
- 2015.10.21 「興和 v. テバ」 知財高裁平成27年(ネ)10074(原審: 2015.04.27 「興和 v. テバ製薬」 東京地裁平成26年(ワ)771)
- 2015.08.27 「興和 v. 沢井製薬」 知財高裁平成26年(ネ)10129(原審: 2014.10.30 「興和 v. 沢井製薬」 東京地裁平成26年(ワ)768)
- 2015.07.23 「興和 v. 東和薬品」 知財高裁平成26年(ネ)10138(原審: 2014.11.28 「興和 v. 東和薬品」 東京地裁平成26年(ワ)772)
- 2015.06.08 「興和 v. ニプロ」 知財高裁平成26年(ネ)10128(原審: 2014.10.30 「興和 v. ニプロ」 東京地裁平成26年(ワ)773; 別紙目録)
- 2015.09.09 「興和 v. 小林化工」 知財高裁平成26年(ネ)10137(原審: 2014.11.28 「興和 v. 小林化工」 東京地裁平成26年(ワ)767)
- 2015.07.16 「興和 v. Meiji Seikaファルマ」 知財高裁平成26年(ネ)10098(原審: 2014.08.28 「興和 v. Meiji Seikaファルマ」 東京地裁平成26年(ワ)770)
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