抗PD-1抗体の癌治療用途に関する米国特許(US 8,728,474)を保有する小野薬品及びそのexclusive licenseeであるBristol-Myers Squibb(BMS)は、Merckが米国で抗PD-1抗体KEYTRUDA®(pembrolizumab)の承認を2014年9月4日に得たことを受け、同日付けで、Merckに対して特許侵害訴訟をデラウェア地区連邦地裁に提起しました。
2014年8月4日付のMerckのSEC Form 10-Qの22ページによれば、Merckは同米国特許のファミリーである欧州特許(EP 1537878B)について異議申立をしていましたが、2014年6月4日に開かれた口頭審理で特許は有効と判断されたようです。
また、2014年7月には小野薬品とBMSが英国でのMerckのpembrolizumabの上市に対して特許侵害訴訟を提起したり、一方で、Merckは小野薬品が保有する抗PD-1抗体に関する別の欧州特許(EP2161336B)に対しても異議申立をしたり。
小野薬品は2014年7月4日に世界で始めて抗PD-1抗体オプジーボ(OPDIVO)®(一般名: ニボルマブ、nivolumab)の承認を日本で得て、同9月2日に販売を開始しましたが、日本以外の市場参入はMerckに先を越されており、抗PD-1抗体市場が特許係争とともに騒がしくなってきました。
参考:
- 小野薬品press release: 2014.07.04 ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®点滴静注20mg、100mg」根治切除不能な悪性黒色腫に対する製造販売承認取得のお知らせ
- 小野薬品press release: 2014.09.02 ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®点滴静注20mg、100mg」新発売
- Merck press release: 2014.09.04 Merck Receives Accelerated Approval of KEYTRUDA® (pembrolizumab), the First FDA-Approved Anti-PD-1 Therapy
- Merck SEC filing: 2014.08.07 Form 10-Q Quarterly report which provides a continuing view of a company’s financial position
- 小野薬品press release: 2005.05.12 小野薬品、米国メダレックス社と抗体医薬に関する共同研究契約を締結
- 小野薬品press release: 2011.09.21 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ抗 PD-1 抗体[ONO-4538/BMS-936558]および関節リウマチ治療剤[オレンシア®(アバタセプト)]について戦略的提携契約を締結
- 米国特許(US 8,728,474)Claim 1:
A method for treatment of a tumor in a patient, comprising administering to the patient a pharmaceutically effective amount of an anti-PD-1 monoclonal antibody.
- 欧州特許(EP1537878B)Claim 1:
Use of an anti-PD-1 antibody which inhibits the immunosuppressive signal of PD-1 for the manufacture of a medicament for cancer treatment.
- 日本特許(JP4409430B)Claim 1:
PD-1抗体を有効成分として含み、インビボにおいてメラノーマの増殖または転移を抑制する作用を有するメラノーマ治療剤。
- 日本特許(JP5159730B)Claim 1:
PD-1抗体を有効成分として含み、インビボにおいて癌細胞の増殖を抑制する作用を有する癌治療剤(但し、メラノーマ治療剤を除く。)。
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