アミジン基を有する化合物のプロドラッグ化: 知財高裁平成25年(行ケ)10018
【背景】
「薬剤中におけるアミジン基を有する活性物質の生物学的利用率の向上」に関する特許出願(特願2009-519786、特表2009-544588)の拒絶審決(不服2010-11032)取消訴訟。
争点は新規性(法29条1項3号)。
請求項1:
少なくとも1種の活性アミジン基を有する薬物の生物学的利用率を向上させるために,薬剤中の前記薬物のアミジン基を,下記式[化2](Rは,水素原子,アルキル基および/またはアリル基を表す)のN,N’-ジヒドロキシアミジン(Ⅰ),N,N’-ジヒドロキシアミジンエーテル(Ⅱ),N,N’-ジヒドロキシアミジンジエーテル(Ⅲ),N,N’-ジヒドロキシアミジンエステル(Ⅳ),N,N’-ジヒドロキシアミジンジエステル(Ⅴ)または4-ヒドロキシ-1,2,4-オキサジアゾリン(Ⅵ)とする薬剤の製造方法。
【要旨】
主文
1 原告の請求を棄却する。(他略)
裁判所の判断
引用化合物と本願発明におけるアミジン基の構成とを対比すると,刊行物Aに記載された化合物36におけるN,N’-ジヒドロキシアミジンジメチルエーテル構造は,本願発明における「N,N’-ジヒドロキシアミジンジエーテル(Ⅲ)」でRがメチル基である場合に相当し,化合物48及び82におけるN,N’-ジヒドロキシアミジン構造は本願発明における「N,N’-ジヒドロキシアミジン(Ⅰ)」に相当し,また,化合物50におけるN,N’-ジヒドロキシアミジンモノメチルエーテル構造は本願発明における「N,N’-ジヒドロキシアミジンエーテル(Ⅱ)」でRがメチル基である場合に相当すると認められる。
また,刊行物Aにおけるアリール-アミジン基を有する化合物は,凝血プロセスを有効かつ選択的に制御する化合物として見いだされたものであることから,医薬製剤における有効成分であり,これは本願発明における「少なくとも1種の活性アミジン基を有する薬物」に相当すると認められる。
そして,刊行物Aに記載された技術は,医薬製剤を製造するための技術に関するものであることから,刊行物Aにおけるアミジン基を有する化合物から各種誘導体化した化合物を得る方法は,本願発明における「薬剤中の前記薬物のアミジン基を,…とする薬剤の製造方法」に相当すると認められる。
以上によれば,本願発明は刊行物Aに記載された発明を包含するものであり,本願発明と引用発明との間には相違点を見出すことができないので,本願発明は刊行物Aに記載された発明であると認められ,これと同旨の審決の認定に誤りはない。
【コメント】
アミジン基を有する化合物から各種誘導化したプロドラッグ化合物についての新規性が問われた。
欧州(EP2046732)ではObservations by third partiesが提出されている。
米国(US2009270440(A1))では拒絶となり、RCEがfileされている。
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