存続期間延長分の特許料納付期限徒過: 知財高裁平成24年(行コ)10007
【背景】
2012.08.31 「宇部興産 v. 国」 東京地裁平成23年(行ウ)443の控訴審。
【要旨】
主 文
1 本件控訴を棄却する。(他略)
裁判所の判断(抜粋)
1 当裁判所は,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり付加,訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄第3の1ないし3(原判決16頁26行目から27頁4行目)のとおりであるから,これを引用する。
(中略)
2 小括
以上(原判決引用部分を含む。)によれば,要するに,控訴人新システムに,システム上の瑕疵又は不具合は認められず,また,本件において,本件特許の第16年分特許料の納付により,完納コードが「完納」に設定され,第17年分の特許料納付期限が設定されなかった原因を明確に特定するに足りる立証はなく,上記原因が特定されない以上,控訴人が,上記原因に関し,通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしたこと及び上記原因が上記注意にもかかわらず避けることができないものと認められる事由に当たることを認めるに足りる主張及び立証もないものといわざるを得ない。そして,控訴人は,自己の自由な判断に基づいて本件移行作業を第三者に委託し,受託した日立情報システムズは,控訴人に対し,作業の各段階において文書で作業内容を報告していたというのであるから,仮に,受託者の過失に起因して本件移行作業に問題が生じ,控訴人が追納期間に本件特許料等を納付することができなかったとしても,当該過失は控訴人側で生じたものというべきであり,いずれにしても,特許法112条の2第1項所定の「その責めに帰することができない理由」があるとはいえない。
したがって,控訴人の請求は理由がなく,その請求を棄却した原判決は正当である。控訴人は,他にも縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。
【コメント】
知財高裁に控訴したが、やはり原告の主張は認められなかった。本件特許は、タリオン錠(ベシル酸ベポタスチン)を保護する特許。原審に関しては下記参照。
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