公知ラセミ体を構成する一方の光学異性体の新規性・進歩性: 無効2011-800097, 2011-800098
「光学活性ピペリジン誘導体の酸付加塩及びその製法」に関する特許(特許第4562229及び特許第4704362)の特許無効審判請求事件。公知ラセミ体を構成する一方の光学異性体の新規性・進歩性が争点。
特許庁審判部は、引用文献にその異性体を実際に単離できたことを示す記載がないことや、その異性体の取得に困難性があったことなどから、これら特許発明の新規性・進歩性を支持する結論を導いた。
これら特許は、田辺三菱が販売している「タリオン®錠5㎎」、「タリオン®錠10㎎」、「タリオン®OD錠5㎎」、「タリオン®OD錠10㎎」の有効成分であるベポタスチンベシル酸塩(bepotastine besilate)の医薬用途特許および同有効成分の物質特許。いずれも特許権の存続期間満了日は2017年12月19日。
タリオン錠は宇部興産ならびに田辺三菱の共同研究により創成された抗アレルギー剤。国内において、2000年7月に効能・効果をアレルギー性鼻炎としてタリオン錠(普通錠)が承認され、その後、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎,痒疹,皮膚掻痒症)の効能・効果については2002年1月に承認、タリオンOD錠は2007年3月に承認されている。
8月にタリオンの後発品が製造承認されている。12月の後発品追補収載はどうなるか。IPDLの経過情報によれば、本件は知財高裁に出訴されたようである(平成24年(行ケ)10206及び平成24年(行ケ)10207)。知財高裁の判断が気になるところである。
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