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製薬企業の職務発明補償・報奨制度

製薬企業各社ウェブページから得られる発明補償・報奨制度関連情報を下記にピックアップ・アップデートしました。

    • 三菱化学: 2010.09.30 社内における報奨制度の見直しについて

      発明も含め事業収益拡大に大きく貢献した従業員を広く報奨する内容へと拡充すべく、2011年度中を目処に、現在の社内報奨制度の見直しを実施する予定。

    • 日本化薬: 発明補償・報奨制度

      1. 職務発明等に対する補償は特許法第35条、実用新案法第11条、意匠法第15条の規定に基づき、従業員が会社へ譲渡した発明、考案および創作(発明等)につき、下記のとおり補償しています。
      1) 発明等の出願時に発明者等へ一定額の支払い
      2) 発明等の登録時に発明者等一定額の支払い(無審査登録制度を採用している実用新案には、一定の条件を満たすことが必要です)
      3) 実績補償
      a. 発明等が審査を経て登録となった場合で、発明等が日本化薬で実施またはライセンスアウトされた場合は、売り上げまたは実施料を基礎として、一定の割合を発明者等へ支払います。
      b. 発明者等は、支払い額につき異議を申し立てる機会があります。
      2. 1事業年度の純売上高または実施料が多大である特許には、一定の割合で報奨金を支払います。報奨金は売り上げまたは実施料を基礎として、一定の割合を発明者に支払い、上限はありません。
      3. 上記、1は法律に基づく規程、2は発明の奨励をするための規程ですが、もう一つ特許出願について、ほかの模範となる職場あるいは発明者に対する表彰規程があります。優秀職場、優秀技術、業績期待、早期業績貢献、権利行使実績、事業部の年度業績に顕著に貢献した特許につき、表彰と一定額の支払いを、発明者または職場に対して行います。

    • 武田薬品:

      2007.09.04 前立腺癌・子宮内膜症治療剤リュープリン®の職務発明対価請求訴訟の和解について
      リュープリン®に関する製剤特許の職務発明の対価の一部として、発明者の一人であるA氏の全ての職務発明(外国特許及びノウハウを含む)を対象として、当社が原告らに金3,759万円(遅延損害金を含む)を支払い和解。

      2004.07.07 ニュースリリース
      年間に支給される実績補償金額の算定方式を変更して上限金額を撤廃するとともに、実績補償金の支給適用を現在(2004年)から10年遡及させた時点(1994年)に販売されていた製品にまで対象を拡大。

      2008 Annual report 職務発明に対する実績補償および報奨制度
      「タケダは、1998年より日本の製薬企業としては初めて、日本法のもと、武田薬品従業員の職務発明を利用した製品が業績に貢献した場合、該当する職務発明者に対象製品の全世界売上高をベースに実績補償金を支給する実績補償制度を導入しました。2007年度は「ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)」「アデカット(一般名:デラプリル塩酸塩)」「タケスリン(一般名:セフスロジンナトリウム)」「ヒルトニン(一般名:プロチレリン酒石酸塩水和物)」などについて、合計7,090万円の実績補償金が支給されました。さらに、発明者以外で、発明完成の補助に極めて高い貢献をした者に対しても、別途報奨金を支払うことを定めています。」

    • アステラス(旧 藤沢):

      2003.01.20 職務発明実績補償制度の改定のお知らせ
      売上の増加に応じて補償金額を増額することによって、補償金額の上限を撤廃。職務発明者に対する支払いは、すべての実績に対して3年毎の算定期間として、特許の有効期間中複数回にわたり行われる。

      2013.01.31 「X v. アステラス」 知財高裁平成24年(ネ)10052
      「平成17年4月1日,次の内容の職務発明規程(以下「被告規程3」という。)を制定し,同日施行した。
      ア (定義)「算定期間」とは,本規程の運用上,売上高およびライセンス収入を算定する各3年間をいい,2005年4月1日を最初の算定期間の起算日とする。
      イ (権利の承継)会社は,職務発明について,本規程の定めるところにより特許を受ける権利を職務発明者から承継する(3条)。
      ウ (出願時補償)会社は,職務発明に係る特許等を受ける権利を承継した場合には,当該権利ごとに本章に定めるところにより補償金を職務発明者に支払う。…(13条)。
      エ (実施時補償)会社は,特許権等に係る発明等が実施されることにより利益を得た場合には,当該特許権等毎に…18条から21条に定めるところにより実施時補償金を職務発明者に支払う。実施時補償金は,職務発明者が会社を退職した場合も支払われる…(17条)。
      オ (対象製品の売上高に対する実施時補償金)
      ① 対象製品の売上高に対する実施時補償金は,対象となる特許権等の存続期間中において対象製品につき特許権等に係る発明が実施されている限り支払われる(18条1項)。
      ② 対象製品の売上高に対する実施時補償金は,対象となる特許権等の各々に対して,次の算定式により算定する(18条2項)。
      実施時補償金額=対象製品の売上高×0.00005×(係数A)
      a 係数Aは,対象製品の売上高に対する特許権等の寄与度による係数であって,特許権等の種類,会社自らが使用する又は子会社に使用許諾される各種データなどにより定めるものとし,1以下とする。
      b 係数Aは,対象製品の製品化における当該特許権等に係る職務発明の技術的寄与の程度も斟酌しつつ,当該特許権等の対象製品の独占性への貢献度を主たる判断基準として職務発明委員会が認定する。
      c 係数Aは,各算定期間において見直す場合がある。
      カ (対象製品の第三者へのライセンスアウトに基づく収入に対する実施時補償金)
      ① 対象製品のライセンス収入に対する実施時補償金は,特許権等の存続期間中において当該特許権等の実施許諾として一時金,ロイヤリティー等が受領されている限り支払われる(19条1項)。
      ② ライセンス収入による実施時補償金額は,対象となる特許権等の各々に対して次の算定式により算定する(19条2項)。
      実施時補償金額=ライセンス収入金額×0.0005×(係数B)
      a 係数Bは,ライセンス収入に対する特許権等の寄与度による係数であって,特許権等の種類,使用許諾される各種データなどにより定めるものとし,1以下とする。
      b 係数Bは,ライセンス契約,並びに対象製品の製品化における当該特許権等に係る職務発明の技術的寄与の程度も斟酌しつつ,当該特許権等の対象製品の独占性への貢献度を主たる判断基準として職務発明委員会が認定する。
      c 係数Bは,各算定期間において見直す場合がある。
      d 対象製品の第三者へのライセンスアウトに基づく収入として,当該特許権等の実施許諾の対価としての一時金,ロイヤリティー以外の収入が含まれている場合や対象製品の取引にロイヤリティー相当額が含まれているとみなされる場合においては,職務発明委員会がそれらの要素を考慮して本条のライセンス収入金額を認定する。
      キ (補償金支払時期)
      ① 18条…に定める実施時補償金は,各算定期間満了後,会社が定める方法により支払われる(22条1項)。
      ② 18条に定める実施時補償金の対象となる対象製品が会社もしくは子会社が製造承認を取得した医療用医薬品の場合,対象製品の日本,米国,欧州地域の主要6ケ国(イギリス,ドイツ,フランス,イタリア,スペイン,オランダ)のいずれかの国における最初の販売後遅滞なく最初の支払が行われるものとし…第18条により定める算定式により実施時補償金額を算定する(22条2項)。
      ク (共同発明者が存在する場合の取扱い)
      18条…に定める…補償金は,各特許権等について当該補償金を受ける権利を有する職務発明者が複数存在する場合は,各職務発明者の職務発明への寄与度に応じて分配して支払われる(23条1項)。
      ケ (附則・経過規程)
      ① 出願時補償の規程
      平成17年3月31日までに山之内製薬又は藤沢薬品工業が行った職務発明に係る特許出願等に対しては…会社は,山之内製薬又は藤沢薬品工業の旧規程により出願時補償を実施する(附則2項 )
      ② 実施時補償の規程
      a 平成17年3月31日までの出願に対しても同年4月1日以降に出願されたものと同様に,同年4月1日を最初の算定期間の起算日として,本規程を適用する(3項 )。
      b 平成17年3月31日までに山之内製薬又は藤沢薬品工業が行った職務発明に係る特許出願等の実施時補償については,山之内製薬又は藤沢薬品工業における同年3月31日までの実施時補償について同年3月31日時点で山之内製薬又は藤沢薬品工業の旧規程上の補償の計算期間が満了していない場合は,計算期間の始期に遡って本規程を適用し,会社における最初の実施時補償時に,その期間を算入して算定する。ただし,対象製品が22条2項に該当する場合は,対象製品の最初の支払時期を同年4月1日以降とし,会社における最初の算定期間も含めた売上高予測に基づき,実施時補償金を算定する(3項 )。
      エ 第1審被告は,平成19年7月26日,被告規程3を改訂した(以下,被告規程3と併せて「被告現行規程」という。)。」

      2016.04.02 アステラス製薬、発明者以外にも報奨金 チーム重視(日本経済新聞より)
      「アステラス製薬は1日、これまでは発明者だけに渡していた報奨金を、研究チームの中で特許取得に大きく貢献したメンバー全員に支給する制度を導入した。」

    • 中外製薬:

      2001.10.05 発明報奨制度の導入について
      まず、上市後5年間の算定基礎額が一定額を超えた場合、最高3,000万円の報奨金が支払われる。次に、上市5年経過後から特許満了までの算定基礎額が一定の額を超えた場合、最高3,000万円の報奨金が支払われる。2回合わせた最高額は6,000万円。算定基礎額は、各年度の売上高から製造原価等を減じた額。従来の制度で支払われていた特許出願時、登録時、発売時の補償金は、その名称を報奨金と改め、かつ増額して発明者に支払われる。

      アニュアルレポート2006
      2006年に発明に対する報奨金支払い制度を含む職務発明規程の改定を行った。新規程では、イノベーティブな発明奨励のため、これまで最高6,000万円強であった報奨金の上限金額を撤廃。

    • エーザイ:

      2001.06.25 研究開発における特別インセンティブ制度の導入
      職務発明制度の報酬金額の最高金額を改定し、1特許につき5,000万円とした。

      アニュアルレポート2003
      研究員が継続的に企業価値向上を意識した研究開発に取り組み、グローバルな創薬活動をさらに加速することを目的として、2001年より研究開発における特別インセンティブ制度を導入。特別インセンティブ制度は、開発決定インセンティブ、新薬承認インセンティブ、売上高対応インセンティブの3種類で構成され、開発決定インセンティブと新薬承認インセンティブは、テーマ創出や新薬の申請・承認に功労があった社員に、将来における企業価値向上に寄与する可能性を生み出したものとしてストックオプションを付与するもの。売上高対応インセンティブは、コンセプト創出から承認に至る各段階で功労のあった社員に対して、新薬発売後5年度分の累計売上高の0.05%を総額として支給するもの。「アリセプト」「パリエット」ではそれぞれ約40名に総額約1億円ずつを支給された。なお、日本には特許法に基づく職務発明制度があり、発売後の販売額に応じて1特許につき最高額5,000万円の報奨金を支払う制度がある。これは特別インセンティブ制度と併用されまる。

    • シオノギ: 2001.03.28 「発明補償金制度」導入のお知らせ

      2001年4月1日以降に新発売された製品のうち、正味販売額ベースで年商が50億円を超えた製品が対象。報奨金は製品の年間正味販売額に0.05%を乗じた金額を総額として算出され、報奨金額に上限なし。また、報奨金額の決定は、製品の販売開始後4年目の4月1日から翌年3月31日までの1年間を評価対象期間と定め、その評価期間中の年間正味販売額、特許状況を検証して、その新製品を保護する全ての特許発明の発明者に対して報奨金を支払う。計算の基礎となる製品の販売額は国内販売に限らず、国外の販売も含み、また、自社で販売した場合も、ライセンシーが販売した場合も区別せずに年間正味販売額に対して報奨金を支払う。新製品に関連する特許発明のみならず、方法の実施や方法の実施許諾等により企業業績の向上に大きく貢献した特許発明(例えば、アッセイ方法の発明、基本的な技術に関する発明、ゲノム関連発明等)に対しても、発明者に対し報奨金を支払う。

    • 大日本住友:

      (旧 大日本)2001.03.29 「発明報償制度」運用規程の制定について
      2001年4月以降に販売が開始された新製品のうち、年間売上高が50億円以上を達成した製品に関わる職務発明(対象特許)の発明者である従業者に対して、年間売上高50億円以上を達成した年から連続する5年間、対象特許の寄与度に相当する金額が報償金として支払われる。複数の発明者および複数の対象特許が該当する場合は、各々の寄与率に応じて支払われる。

      (大日本住友)CSR活動報告2011
      2005年10月6日に発明取扱規程として制定。

    • 参天製薬: 社会・環境報告書2007

      発明補償金は、「出願補償金」「登録補償金」「実績補償金」で構成され、出願補償金と登録補償金については一定額を、実績補償金については海外も含めた対象製品の売上高に応じた支払いを行っている。また、2005年4月に施行された改正特許法に対応して、実績補償金については、増額や上限額の撤廃などを盛り込んだ制度の改定を行っている。

    • 味の素: CSRレポート2011

      従業員が会社に譲渡した職務発明には、「出願補償金」が支払われ、その職務発明が登録されると「登録補償金」が支払われます。その職務発明が会社により実施されると、会社が得た利益に応じて発明者に「実績補償金」が支払われる。

    • 日本新薬: CSR報告書2009

      2001年より職務発明報奨制度を運用し、特許出願時、特許登録時および製品発売時に一定額の報奨金を支払うとともに、製品発売後の一定期間における製品販売利益に基づいた実績報奨金を支払っている。2005年には、特許法の職務発明規定の改正に伴い、社内の職務発明報奨規程を見直し、報奨金を増額させた。

    • ファイザー:

      2018.09.14 「A v. ファイザー」 東京地裁平成29年(ワ)17070
      中央研究所においては,平成16年特許法改正を踏まえ,平成17年1月,新たな発明報償制度について検討をするため,職場代表から構成される報償提案委員会が形成され,同委員会は,平成17年7月1日,中央研究所の各部署の責任者の合議体による意思決定機関であるNagoya Leadership Team(NLT)との合同会議においてその検討結果を報告,NLTがこれを踏まえて検討の上,ファイザー本社の研究開発部門の長に提案,その結果を同委員会にフィードバックされた。NLTは,平成17年9月13日,報償提案委員会との会議において,最終案として,①職務発明の対価としては,出願時に5万円の報償金のみとし,実績に対する報償は行なわない,②その他の報償は,total rewardの一部として検討する,③total rewardの一環としてストックオプション等を検討するとの案を提示した。報償提案委員会は,同案を検討の上,これを受け入れることとした。上記最終案を経営者と従業員の代表による取り決め案とすべく,平成18年1月以降,管理職や従業員らに対する説明や意見の聴取が行われた。その際には,実績に基づく対価の支払をせず,医薬品の発明者・貢献者に広く報償する制度とする理由について,①医薬品の開発を成功させるためには,発明から開発,マーケティングに至るまで多くの人が関わるので,特定の発明者のみが高額の報償金を得ることは不公平であること,②発明を利用した製品の売上げの多寡は発明の価値とは直接結びつかないこと,③発明完成段階では新規化合物の人間に対する薬効・副作用の十分な予測は困難であり,開発の途中で中止するリスクが高いこと,④ファイザーにおける研究はチームプレーであることなどによるものであると説明されている。

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