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2010.04.15 「塩野義製薬 v. 伊藤忠ケミカル/沢井製薬」 大阪地裁平成21年(ワ)2208・平成21年(ワ)12412

フロモックス結晶特許の侵害訴訟: 大阪地裁平成21年(ワ)2208・平成21年(ワ)12412

【背景】

塩野義が保有する「フロモックス(Flomox)」(一般名:セフカペンピボキシル塩酸塩水和物)の結晶に関する特許権(特許2960790号)侵害差止請求事件。

特許請求の範囲には、X線回折測定の結果現れた30のピークの回折角と強度が示されていたが、実はそのうち2つのピークは結晶自体のものではなく、白金ホルダー由来のピークだった。

【要旨】

裁判所は、

「被告製品1(物質)自体は,そのX線回折像に,本件2ピークに対応するピークを有していない。したがって,前記(1)の文言解釈を前提にすれば,被告製品1は,他の28ピークの回折角や強度について判断するまでもなく,本件発明の構成要件Aを充足しないこととなる。

~当業者であれば,構成要件Aに記載された本件2ピークが,本件エステル塩酸塩一水和物結晶のピークではないと容易に気づいて,特許請求の範囲から本件2ピークを除外して理解するのが通常であるとはいい難い。」

と判断し、被告製品は本件発明に係る技術範囲に属さないと結論した。

さらに裁判所は、本件特許は進歩性欠如の無効理由があり、特許無効審判において無効にされるべきものであるから本件特許権を行使することはできないとも判断した。

【コメント】

結晶形の発明におけるクレームの表現の仕方、明細書の書き方を考えさせられる事件。

進歩性判断における裁判所の認定には疑問があるが、本件発明の技術的範囲の議論は塩野義にとっては非常に苦しい状況のようである。

塩野義は知財高裁に控訴しているのでその判断を待ちたい。

参考:

コメント

  1. 匿名 より:

    発明者や知財部担当者らが、白金ホルダー由来のピークをそれと知らずに、それとも知っていながら、クレームに入れ込んだのか。宣誓供述をとりたい気がします。シオノギさん、無理筋ですよ。

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