独メルクと米メルクの合意: 知財高裁平成20年(行タ)10007
【背景】
基本事件(2008.10.30 「メルク・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクチエン v. 萬有製薬」知財高裁平成20年(行ケ)10308)の訴訟記録中、別紙記録目録記載の部分について、基本事件原告(メルク・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクチエン)の親会社であるE.Merck(現在の名称:Merck KGaA,独メルク)と申立人(萬有製薬)の親会社であるMerck & Co., Inc.(米メルク)との合意の内容が記載されていた。
申立人は、本件合意は申立人の保有する営業秘密に該当することを理由として、当該記載部分について閲覧制限の申立てをした。
閲覧制限を申立てた部分には、基本事件訴訟中に証拠として提出された本件合意に係る契約書及び合意に係る書簡が含まれていた。
なお、基本事件原告は、疎明資料として下記(1)ないし(5)を提出した。
(1) 基本事件原告の日本子会社であるメルク株式会社のウェブサイト(www.merck.co.jp/japan/about/content_history.html)をプリントアウトした書面
(2) インターネット上の百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%AF)をプリントアウトした書面
(3) 米メルクのオーストラリア子会社のウェブサイト(www.msd-australia.com.au/page.asp?e_page=376739&3570=376571§ion=376565&subsection=377267&article=376571)をプリントアウトした書面
(4) WIPOのウェブサイト(www.wipo.int/amc/en/domains/decisions/html/2003/d2003-0203.html)に公開されたWIPO仲裁調停センターの2003年5月27日付け裁定をプリントアウトした書面
(5) 基本事件原告の商標統括担当者作成に係る平成20年11月10日付け陳述書
【要旨】
裁判所は、上記疎明資料(1)~(4)について誰でもアクセス可能であること、また本件合意に係る契約書に守秘義務条項が存在していないこと、及び本件合意に係る書簡には秘密として保持すべき旨の記載は見当たらない、等から、本件合意の内容は申立人の保有に係る営業秘密であると認めることはできない、と判断した。
申立却下。
【コメント】
萬有製薬にしてみれば、その合意内容が周知であろうがなかろうが、建前として、親会社に関わる”契約書”を閲覧可能にさせるわけにはいかなかった・・・のかもしれない。
参考:
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