開口点眼容器: 知財高裁平成19年(行ケ)10331
【背景】
被告(千寿製薬)は、「開口点眼容器及びそれの製造方法」に関する本件特許(第3694446号)について無効審判を請求、特許権者である原告(参天製薬)は訂正請求したが、訂正後の請求項1ないし9はいずれも進歩性なしであるとされ無効審決。本件はその審決取消訴訟。
【要旨】
原告は、本件発明1と甲1発明Aとの一致点の認定の誤り及び相違点看過、さらに各相違点についての判断に誤りがある旨主張したが、
裁判所は、
審決の認定に誤り及び相違点看過はないし、判断にも誤りはない、
と判断した(同様に本件発明2ないし9についての判断も)。
また、原告は、
「審決は,甲9以外に甲27及び28を裏付けとして周知技術を認定しているが,これらは審決において指摘された刊行物であり,原告に意見を述べる等の機会を与えなかった違法がある」
旨も主張した。
しかし裁判所は、
「本件審判手続及び審決は,申立人が申し立てなかった新たな無効理由に基づいて判断したものとはいえず,また,実質的に意見を述べる機会を付与しなかったものともいえない。したがって,本件審判手続において特許法134条2項,同153条2項等の規定に反する手続があったものと認めることはできず,原告の主張は理由がない。」
と判断した。
請求棄却。
【コメント】
進歩性判断において特筆すべき点はないが、おもしろいのは、
本件における原告の訴訟活動及び争点設定に関して、裁判所は、
「本件において,原告が,争点を整理し,絞り込みをすることなく,漫然と,審決が理由中で述べたあらゆる事項について誤りがあると主張して,取消訴訟における争点としたことは,民事訴訟法2条の趣旨に反する信義誠実を欠く訴訟活動であるといわざるを得ない。」
との意見を述べた。
そこまで言うか?
よほど原告の訴訟活動(態度?)がひどかった・・・ということなのだろうか。
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