・Indication

スポンサーリンク
*Case2024

2024.10.28 「サムスン v. バイエル」東京地裁令和6年(ヨ)30029 ― パテントリンケージにおける特許権者による情報提供と不競法の虚偽告知該当性 ―

Summary 本件は、後発メーカーのサムスンが、バイオ後続品が本件特許権を侵害するとして先発メーカーのバイエルが厚労省に情報提供した行為が不競法2条1項21号に定める不正競争に該当すると主張し、その告知行為の差止めの仮処分を求めた事案である。 東京地方裁判所は、バイエルの情報提供は虚偽の回答に該当するとしつつ、パテントリンケージ制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものではないと判断し、サム...
7
*Case2023

2023.09.28 「アムジェン v. サノフィ」東京地裁令和2年(ワ)8642 ― 取得困難を自認した出願後の発明者のメール内容が実施可能要件及びサポート要件の判断に影響した事例 ―

1.はじめに 抗PCSK9抗体に関する特許権(特許第5705288号及び第5906333号)を有するアムジェンが抗PCSK9抗体製剤プラルエント®を販売するサノフィを特許権侵害で提訴した前訴判決では、アムジェンが勝訴し、販売差止めを命じる同判決は確定していた。本件(東京地裁令和2年(ワ)8642)は、アムジェンが、サノフィに対し、同侵害行為に基づく損害賠償の支払を求めた事案である。 アムジェンとサ...
0
*Case2024

2024.08.07 「科研製薬 v. リジェネロン/サノフィ」 知財高裁令和5年(行ケ)10019 ― 臨床試験結果に基づく医薬用途発明の特許出願のジレンマ:臨床試験プロトコル公開のインパクト

1.はじめに アトピー性皮膚炎治療のための抗インターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体を含有する医薬組成物に関するリジェネロン及びサノフィの特許に対する無効審判請求を不成立とした審決を不服として科研製薬が提起した審決取消訴訟(知財高裁令和5年(行ケ)10019)で、知財高裁は、本件審決の判断に誤りはなく、科研製薬が主張する取消事由(進歩性、サポート要件及び実施可能要件に関する誤り)はいずれも理由...
0
スポンサーリンク
*Case2024

2024.03.21 「大塚製薬 v. トーアエイヨー・ニプロ・東和薬品」 知財高裁令和4年(行ケ)10084 ― サムスカ®の有効成分トルバプタンに関する医薬用途発明の進歩性 ―

Summary 本件は、発明の名称を「重症心不全の治療方法およびその薬剤」とする特許第4771937号の特許権者である大塚製薬(原告)が、本件特許を無効と判断した審決を不服として、その取消しを求めた事案である。 知財高裁は、進歩性欠如を理由として本件特許を無効であると判断した本件審決を支持し、大塚製薬の請求を棄却する判決をした。 この事件には、バソプレシン V2-受容体拮抗薬であるトルバプタン(T...
0
*Case2024

2024.03.25 「X v. クリニジェン」 知財高裁令和5年(ネ)10103 ― 本件訴えは前件訴訟の蒸し返しであり信義則に反する不適法なものであるとして控訴を棄却した損害賠償請求事件  ―

Summary クリニジェン株式会社が本件国内移行手続を執らなかった行為及び本件発明の権利化の機会を発明者である原告Xに与えなかった行為が譲渡契約上の債務不履行を構成すると主張して原告Xが同社に対し損害賠償の支払を求めた控訴審で、知財高裁は、本件訴えは前件訴訟(東京地裁令和3年(ワ)4655)の蒸し返しであって、訴訟法上の信義則に反する不適法なものであり、本件訴えを却下した原判決は相当であるとして...
0
*Case2023

2023.05.10 「ニプロ v. エーザイ」 知財高裁令和4年(ネ)10093 特許権侵害差止請求権等の不存在確認請求控訴事件(エリブリンメシル酸塩事件) - 法治主義に反する状況? 問われる日本版パテントリンケージ制度 -

>原判決記事 1.はじめに 本判決(知財高裁令和4年(ネ)10093)は、抗悪性腫瘍剤ハラヴェン®(有効成分: エリブリンメシル酸塩)の後発医薬品の承認申請を行ったニプロ(控訴人)が、エーザイ(被控訴人)が有する本件各特許権による差止請求権及び損害賠償請求権の不存在確認、並びに当該医薬品が本件各発明の技術的範囲に属しないことの確認を求めた控訴審判決である。 知財高裁は、ニプロの後発医薬品の製造販売...
3
*Case2023

2023.01.26 「リジェネロン v. アムジェン」 知財高裁令和3年(行ケ)10093 ―「参照抗体と競合する」抗体クレームのサポート要件充足性と発明特定事項の意義―

Summary 抗PCSK9モノクローナル抗体アリロクマブ(alirocumab)を有効成分とするサノフィの高コレステロール血症治療剤プラルエント®を特許権侵害訴訟で販売停止に追い込んだアムジェンの抗体特許に対して、今度はリジェネロンが同特許の無効を求めて再挑戦してきた無効請求不成立審決取消訴訟で、サノフィとの別件訴訟でアムジェン勝訴判決を下してきた知財高裁は、一転、リジェネロンが主張した取消事由...
2
*Case2023

2023.01.12 「東和薬品・共和薬品工業・日医工 v. 協和キリン」 令和3年(行ケ)10155, 10157・・・パーキンソン病治療剤ノウリアスト®の医薬用途発明の特許性 引用文献記載は「実証的でない」と判断

Summary パーキンソン病治療剤ノウリアスト®(一般名:イストラデフィリン)の医薬用途発明に係る協和キリンの特許第4376630号についての無効請求不成立審決の取消訴訟で、裁判所は、原告ら(東和薬品、共和薬品工業、日医工)の取消事由(新規性の欠如、進歩性の欠如等)は理由がないとして、原告らの請求を棄却する判決を言い渡した。 その判断は、引用文献(発明者らが共著者であった)の考察の記載は試験結果...
0
*Case2022

2022.12.13 「中外製薬 v. 沢井製薬・日医工」 知財高裁令和4年(ネ)10065・・・エルデカルシトール前腕部骨折抑制医薬用途発明の新規性を否定(エディロール®後発医薬品に対する特許権侵害差止等請求控訴事件)

Summary 骨粗鬆症治療剤エディロール®カプセルの有効成分エルデカルシトールの前腕部骨折抑制剤に関する医薬用途発明(特許第5969161号)に係る特許権を保有する中外製薬が、沢井製薬及び日医工がその後発医薬品を製造・販売する行為は侵害に当たると主張して、その差止・廃棄を求めた事件。 原審は、本件発明はいずれも乙1文献に記載された発明に基づき新規性が欠如し、本件訂正によってもその無効理由は解消さ...
0
*Case2022

2022.11.28 「沢井製薬 v. 東レ」 知財高裁令和4年(行ケ)10046; 10048; 10049・・・レミッチ®用途特許延長登録に関する前訴判決拘束力の理解の誤り及び手続上の瑕疵の存在を主張する沢井の審決取消請求を棄却

本件(令和4年(行ケ)10046; 令和4年(行ケ)10048; 令和4年(行ケ)10049)は、東レ(被告)が保有する「止痒剤」に関する特許第3531170号に係る特許権の存続期間延長登録(特願2015-700061; 2017-700309; 2017-700310)に対して沢井製薬(原告)がした無効審判請求(無効2020-800002号事件; 無効2020-800003号事件; 無効2020...
0
*Case2022

2022.12.13 「中外製薬 v. 沢井製薬・日医工」 知財高裁令和3年(行ケ)10066・・・「技術常識によれば当業者は認識するものといえる」エルデカルシトール前腕部骨折抑制医薬用途発明の新規性を否定

Summary 中外製薬及び大正製薬の「エルデカルシトールを含有する前腕部骨折抑制剤」に関する医薬用途発明に係る特許第5969161号の無効審決取消請求事件。 本件各訂正発明は「非外傷性である前腕部骨折を抑制するための」医薬組成物であるところ、公知の甲1発明では特定されていなかった本件各訂正発明の各相違点が、甲1発明との実質的な相違点といえるか否か(新規性の判断)が争われた。 知財高裁(第3部)は...
0
*Case2022

2022.08.30 「ニプロ v. エーザイ」 東京地裁令和3年(ワ)13905 特許権侵害差止請求権及び損害賠償請求権の不存在確認請求事件・・・抗悪性腫瘍剤ハラヴェン®(エリブリン)の後発医薬品申請時点における訴えの利益

Summary 本件は、抗悪性腫瘍剤ハラヴェン®の後発医薬品の承認申請を行ったニプロ(原告)が、エーザイ(被告)が有する本件各特許権による差止請求権及び損害賠償請求権の不存在確認、並びに当該医薬品が本件各発明の技術的範囲に属しないことの確認を求めた事案である。 エーザイは、本案前の主張として、ニプロの各訴えには訴えの利益がないと主張した。 東京地裁(民事第46部)は、ニプロの後発医薬品の製造販売に...
2
*Case2022

2022.05.27 「中外製薬 v. 沢井製薬・日医工」 東京地裁令和2年(ワ)13326; 13331 エディロール®用途発明に係る特許権侵害差止等請求事件・・・新規性判断への疑問点

Summary 骨粗鬆症治療剤エディロール®カプセルの有効成分エルデカルシトールの用途発明に係る特許権を保有する中外製薬(原告)が、沢井製薬及び日医工(被告ら)がその後発医薬品を製造・販売する行為は侵害に当たると主張して、その差止・廃棄を求めた事件。 本件発明は、「非外傷性である前腕部骨折を抑制するための」医薬組成物であるところ、本件発明と公知の乙1発明が相違するといえるかが問題となった。 裁判所...
0
*Case2022

疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)の後発医薬品の特許権侵害訴訟で控訴審(知財高裁)判決出揃う 全ての「痛み」の用途特許は無効、特許権侵害認めず・・・4つの部で本件訂正が新規事項追加か否かへの向き合い方に違い

発明の名称を「イソブチルGABAまたはその誘導体を含有する鎮痛剤」とする特許第3693258号に係る特許権者であるワーナー-ランバートが、効能・効果を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」とする先発医薬品リリカ®の後発医薬品を販売するなどする行為はいずれも特許権を侵害すると主張し、後発医薬品メーカーらに対し、その後発医薬品の製造、販売等の差止め及び廃棄を求めた特許権侵害差止請求控訴事件。 先発医...
0
*Case2022

2022.06.22 「日医工 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和3年(行ケ)10115 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑧

Summary 旭化成ファーマは、週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(テリパラチド酢酸塩)を製造販売している。 本件(知財高裁令和3年(行ケ)10115)は、旭化成ファーマが特許権者でありテリパラチドの週1回投与に関する特許第6198346号に対する無効審判事件(無効2019-800062号)において、請求は成り立たないとの特許庁審決を受けた日医工が、その取消しを求め...
0
*Case2022

2022.06.22 「日医工 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和3年(行ケ)10069 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑦

Summary 週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(テリパラチド酢酸塩)を製造販売する旭化成ファーマが特許権者であるPTH週1回投与に関する特許第6522715号に対して日医工が請求した無効審判事件において、請求は成り立たないとの特許庁審決を受け、日医工がその取消しを求めて知財高裁に提起した訴訟。 知財高裁(第4部)は、日医工が主張する取消事由(甲7発明に基づく進歩性...
0
*Case2022

2022.06.29 「ワーナー-ランバート v. 大原薬品工業・共創未来ファーマ・三和化学研究所・キョーリンリメディオ・杏林製薬」 知財高裁令和4年(ネ)10015・・・疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)特許権侵害訴訟 控訴審も非侵害の判決

Summary 効能・効果を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」とする先発医薬品リリカ®の医薬用途特許に係る特許権者(ワーナー-ランバート)とその後発医薬品を販売等する被告ら(大原薬品工業・共創未来ファーマ・三和化学研究所・キョーリンリメディオ・杏林製薬)との間で争われていた、特許権侵害差止請求事件の控訴審。 知財高裁(第2部)は、ワーナー-ランバートの請求を全部棄却した原判決は相当であるとし...
0
*Case2021

2021.12.23 「ワーナー-ランバート v. 東和薬品」東京地裁令和2年(ワ)19929・・・疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)のジェネリック、医薬用途に係る特許権は非侵害と判断⑤

Summary 効能・効果を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」とする先発医薬品リリカ®の医薬用途特許を保有する原告(ワーナー-ランバート)とその後発医薬品を販売等する被告(東和薬品)との間で争われていた、延長登録された特許権の侵害差止請求事件。 東京地裁(民事第46部)は、 全ての「痛み」に関する本件発明1及び2に係る特許は、サポート要件違反により無効である 本件発明1及び2を「痛覚過敏又は...
2
*Case2022

2022.03.07 「ワーナー-ランバート v. 沢井製薬外15社」知財高裁令和2年(行ケ)10135・・・「痛み」を特定する本件訂正は当該痛みに「効果を奏すること」の記載がないから新規事項の追加に当たる

Summary ワーナー-ランバートが保有する「イソブチルGABAまたはその誘導体を含有する鎮痛剤」に関する特許第3693258号の無効審決取消訴訟。 知財高裁は、 「痛み」に関する本件発明を「神経障害や線維筋痛症による痛覚過敏や接触異痛の痛み」に特定する本件訂正について、本件明細書には「痛み」に当該痛みが含まれる旨の記載があるが、当該痛みに「効果を奏すること」の記載がないから、新規事項の追加に当...
2
*Case2021

2021.12.10 「ワーナー-ランバート v. 第一三共エスファ・第一三共」 東京地裁令和2年(ワ)22283・・・疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)のジェネリック、医薬用途に係る特許権は非侵害と判断④

Summary 効能・効果を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」とする先発医薬品リリカ®の医薬用途特許を保有する原告(ワーナー-ランバート)とその後発医薬品を販売等する被告ら(第一三共エスファ及び第一三共)との間で争われていた、延長登録された特許権の侵害差止請求事件。 東京地裁(民事第40部)は、 全ての「痛み」に関する訂正前発明1及び2に係る特許は、実施可能要件及びサポート要件の各違反により...
0
*Case2021

2021.11.30 「ワーナー-ランバート v. 日新製薬・Meiji Seika ファルマ」 東京地裁令和2年(ワ)19918/22291・・・疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)のジェネリック、医薬用途に係る特許権は非侵害と判断③

Summary 効能・効果を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」とする先発医薬品リリカ®の医薬用途特許を保有する原告(ワーナー-ランバート)とその後発医薬品を販売等する被告ら(日新製薬・Meiji Seika ファルマ)との間で争われていた、延長登録された特許権の侵害差止請求事件。 東京地裁は、 全ての「痛み」に関する本件発明1及び2については、実施可能要件違反により無効である 本件発明1及び...
0
*Case2022

2022.01.19 「ワーナー-ランバート v. 武田テバファーマ・武田薬品工業」 東京地裁令和2年(ワ)22290/26770・・・疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)のジェネリック、医薬用途に係る特許権は非侵害と判断②

Summary 効能・効果を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」とする先発医薬品リリカ®の医薬用途特許を保有する原告(ワーナー-ランバート)とその後発医薬品を製造等する被告ら(武田テバファーマ及び武田薬品工業)との間で争われていた、延長登録された特許権の侵害差止請求事件。 東京地裁は、 「痛み」に関する本件発明1及び2については、実施可能要件違反及びサポート要件違反により無効である 本件発明2...
0
*Case2021

2021.12.27 「大塚製薬 v. 共和薬品工業・日医工」 知財高裁令和2年(行ケ)10077・・・エビリファイ®用途特許一部無効審決を取り消す(判決④)・・・特許紛争を横目に沢井ジェネリックは効能追加

>関連判決③から続く Summary 5-HT1A部分作動薬を双極性障害の「うつ病エピソード」の治療に使用できることが技術常識であるとはいえないとした本件審決の認定に誤りがあるから、その認定を前提として本件医薬用途特許の一部が実施可能要件・サポート要件違反であるとした無効審決は取り消された。 但し、双極性障害の「躁病エピソード」の治療に係る部分については、本件審決において実質的な判断が示されていな...
2
*Case2021

2021.12.27 「大塚製薬 v. 東和薬品」 知財高裁令和2年(行ケ)10079; 10083・・・エビリファイ®用途特許一部無効審決を取り消す(判決③)

>関連判決②から続く 1.背景 ジェネリックメーカー各社(共和薬品工業、ニプロ、東和薬品及びMeiji Seikaファルマ)が抗精神病薬エビリファイ®の医薬用途特許(第4178032号)に対して各々請求した特許無効審判事件において、特許庁は、エビリファイ®の「うつ病・うつ状態」の効能・効果を保護する請求項2に係る発明についての無効の主張を退けたが、エビリファイ®の「双極性障害における躁症状」の効能...
0
*Case2021

2021.12.27 「大塚製薬 v. ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10078; 10082・・・エビリファイ®用途特許一部無効審決を取り消す(判決②)

>関連判決①から続く 1.背景 ジェネリックメーカー各社(共和薬品工業、ニプロ、東和薬品及びMeiji Seikaファルマ)が抗精神病薬エビリファイ®の医薬用途特許(第4178032号)に対して各々請求した特許無効審判事件において、特許庁は、エビリファイ®の「うつ病・うつ状態」の効能・効果を保護する請求項2に係る発明についての無効の主張を退けたが、エビリファイ®の「双極性障害における躁症状」の効能...
0
*Case2022

2022.02.02 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10071 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑥

・・・特許6150846(「増悪椎体骨折抑制のための」を発明特定事項とする医薬用途発明)の進歩性を認めた審決を取り消す。 >⑤から続く 前回記事: 2021.12.09 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10069 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑤ 1.はじめに 旭化成ファーマが製造販売する週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン...
4
*Case2021

2021.12.27 「大塚製薬 v. Meiji Seikaファルマ・大原薬品工業」 知財高裁令和2年(行ケ)10080; 10081・・・エビリファイ®用途特許一部無効審決を取り消す(判決①)

Summary 5-HT1A部分作動薬を双極性障害の「うつ病エピソード」の治療に使用できることが技術常識であるとはいえないとした本件審決の認定に誤りがあるから、その認定を前提として本件医薬用途発明の一部が実施可能要件・サポート要件違反であるとした無効審決は取り消された。 但し、双極性障害の「躁病エピソード」の治療に係る部分については、本件審決において実質的な判断が示されていないとして、その部分の実...
0
*Case2021

2021.12.24 「ワーナー-ランバート v. 小林化工」 東京地裁令和2年(ワ)19927・・・疼痛治療剤リリカ®(プレガバリン)のジェネリック、医薬用途に係る特許権は非侵害と判断①

本件(東京地裁令和2年(ワ)19927)は、発明の名称を「イソブチルGABAまたはその誘導体を含有する鎮痛剤」とする特許第3693258号に係る特許権の特許権者である原告(ワーナー-ランバート)が、被告(小林化工)に対し、プレガバリンを有効成分とし「効能又は効果」を「神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛」として承認を受けた後発医薬品プレガバリンOD錠「KN」(被告医薬品)が本件特許の特許請求の範囲...
1
*Case2022

2022.01.19 「メジオン ファーマ v. 特許庁長官」 知財高裁令和2年(行ケ)10122・・・医薬用途発明の実施可能要件を満たすための記載(ウデナフィル/udenafil)

本件(知財高裁令和2年(行ケ)10122)は、発明の名称を「ウデナフィル組成物を用いてフォンタン患者における心筋性能を改善する方法」とする特許出願(特願2017-504434号、特表2017-524705、WO2016/025100)の拒絶査定不服審判事件(不服2019-1474号)について、実施可能要件違反及びサポート要件違反により拒絶すべきものであるとして出願人(メジオン ファーマ/MEZZI...
0
*Case2021

2021.12.09 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10069 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑤

・・・特許6198346(投与期間を発明特定事項とする医薬用途発明)の進歩性を認めた審決を取り消す。 >④から続く 前回記事: 2021.09.28 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10038 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判④ 1.はじめに 旭化成ファーマが製造販売する週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μ...
0
*Case2021

2021.09.28 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10038 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判④

・・・特許6301524(一定の服薬歴がある患者を対象とする医薬用途発明)の進歩性を認めた審決を取り消す。 >③から続く 前回記事:「骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判③」 1.はじめに 旭化成ファーマが製造販売する週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」(以下、「テリボン®」と略す。)のジェネリック参入障壁となっていると考えられるのが...
0
*Case2021

2021.08.31 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10132 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判③

・・・特許6275900の進歩性を認めた審決を取り消す。 >②から続く 前回記事「骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判②」 1.はじめに 旭化成ファーマが製造販売する週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」のジェネリック参入障壁となっていると考えられるのが、テリパラチドの週1回投与を特徴とする発明に係る7つの特許(存続期間満了は2030年...
0
*Case2021

2021.08.31 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10056 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判②

・・・特許6043008の進歩性を認めた審決を取り消す。 >①から続く 前回記事「骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判①」 1.はじめに 旭化成ファーマが製造販売する週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」のジェネリック参入障壁となっていると考えられるのが、テリパラチドの週1回投与を特徴とする発明に係る7つの特許(存続期間満了は2030年...
0
*Case2021

2021.08.31 「旭化成ファーマ v. 沢井製薬」 知財高裁令和2年(行ケ)10004 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判①

・・・予測をすることができなかった顕著な効果を奏するものであると認めることはできない。特許6274634は進歩性なしと判断された。 1.はじめに 旭化成ファーマ(株)は、ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分であるN端側の1-34ペプチド断片であるテリパラチド(Teriparatide)酢酸塩を有効成分とする週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」を製造販売している(再審...
0
*Case2021

2021.06.29 「EAファーマ v. 沢井製薬・大原薬品工業」 知財高裁令和2年(行ケ)10094

・・・パリエット®のPPI抵抗性逆流性食道炎に対する維持療法に関する用法・用量特許を無効とする判断。臨床試験の結果を頼りとする特許出願のタイミングについて ー特許取得可能性の観点とジェネリックへの対抗力の観点からー 1.パリエット®の「PPI抵抗性逆流性食道炎に対する維持療法に関する用法・用量」追加とジェネリックの参入 エーザイは、2017年9月22日にパリエット®錠5mg/10mg(一般名: ラ...
2
*Case2021

2021.03.30 「東レ v. 沢井製薬・扶桑薬品工業」 東京地裁平成30年(ワ)38504, 平成30年(ワ)39508・・・延長特許権の効力について判断せず。「有効成分」を狭く解釈し、被告ら製剤は非充足。しかし別件審決取消訴訟で知財高裁は広く解釈・・・

1.はじめに 経口そう痒症改善剤レミッチ®の後発医薬品(ナルフラフィン塩酸塩OD錠)を製造販売する沢井製薬及び扶桑薬品工業(被告ら)に対して、東レが、ナルフラフィンの用途特許に係る特許権(延長登録出願によりみなし延長された)を侵害していると主張して、被告ら製品の製造販売差止と損害賠償等を求めていた訴訟で、東京地裁は、東レの請求をいずれも棄却した。 延長された特許権の効力は被告ら製剤に及ぶのかどうか...
2
*Case2021

2021.03.25 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10098

そう痒症改善剤レミッチ®OD錠の特許権の存続期間の延長登録「腹膜透析患者」についての無効審決部分は取消しとする判決。 本件特許について、 レミッチOD錠「血液透析患者、慢性肝疾患患者のそう痒症」ノピコールカプセル「慢性肝疾患患者のそう痒症」レミッチカプセル「腹膜透析患者のそう痒症」レミッチOD錠「腹膜透析患者のそう痒症」(本件延長登録) の延長登録出願または延長登録についての審決取消判決が同日に言...
0
*Case2021

2021.03.25 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10097

そう痒症改善剤レミッチ®カプセルの特許権の存続期間の延長登録「腹膜透析患者」についての無効審決部分は取消しとする判決。 1.はじめに 本件(知財高裁令和2年(行ケ)10097)は、東レが保有する「止痒剤」に関する特許権の存続期間の延長登録(出願番号2017-700309)を無効とする審決(無効2020-800003号)に対する取消訴訟である。 争点は、①被告ニプロに被告適格があるか否か、②本件特許...
0
*Case2021

2021.03.25 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10096

そう痒症改善剤ノピコール®の特許権の存続期間の延長登録無効審決の取消し・・・「ナルフラフィン塩酸塩」のみを本件医薬品の有効成分と解し、「ナルフラフィン」は本件医薬品の有効成分ではないと認定して、本件発明の実施に本件処分を受けることが必要であったとはいえないと判断した本件審決の認定判断は誤り 1.はじめに 本件(知財高裁令和2年(行ケ)10096)は、東レが保有する「止痒剤」に関する特許権の存続期間...
0
*Case2021

2021.03.25 「東レ v. 特許庁長官」 知財高裁令和2年(行ケ)10063

そう痒症改善剤レミッチ®の特許権の存続期間の延長登録出願・・・「ナルフラフィン塩酸塩」のみを本件医薬品の有効成分と解し、「ナルフラフィン」は本件医薬品の有効成分ではないと認定して、本件発明の実施に本件処分を受けることが必要であったとはいえないと判断した本件審決の認定判断は誤り 1.はじめに 本件(知財高裁令和2年(行ケ)10063)は、経口そう痒症改善剤レミッチ®に関わる東レが保有する「止痒剤」に...
0
*Case2021

2021.03.25 「沢井製薬 v. 東レ」 知財高裁令和2年(行ケ)10041

レミッチ®(ナルフラフィン)の医薬用途特許の進歩性。裁判所は、公知文献の仮説や推論が動機付けを基礎づける場合はあるが、本件においては、技術的な裏付けの乏しい一つの仮説にすぎないものであり、「止痒剤」用途を動機付けるとは認められない、と判断した。 1.はじめに 本件(知財高裁令和2年(行ケ)10041)は、東レの「止痒剤」に関する特許(第3531170号)に対して沢井製薬が請求した無効審判(無効20...
0
*Case2021

2021.03.17 「X v. 小野薬品・Y」 知財高裁令和2年(ネ)10052

元大学院生が、小野薬品及び本庶氏が共有する抗PD-L1抗体に関する特許権に係る発明の共同発明者であると主張して同特許権の持分の一部移転登録手続等を請求した事件(控訴審判決) 1.事件の背景 本件(知財高裁令和2年(ネ)10052)は、控訴人(X)が、抗PD-L1抗体を有効成分として含む癌治療剤に関する特許第5885764号(*1)に係る発明は、控訴人が大学院在籍中に行った実験結果やその分析から得ら...
0
*Case2021

2021.02.09 「X v. アムジェン」 知財高裁令和2年(ネ)10051・・・新薬承認を得るために必要な試験は特許法69条1項の『試験又は研究』に該当するか

1.事件の概要・・・本件治験は特許法69条1項の『試験又は研究』に該当するか 本件(知財高裁令和2年(ネ)10051)は、「ウイルス及び治療法におけるそれらの使用」に関する特許第4212897号に係る特許権者である控訴人(X)が、被控訴人(アムジェン)が腫瘍溶解性ウイルス「T-VEC」の国内ブリッジング試験(本件治験)を実施していることが、本件発明の実施に当たり、本件特許権を侵害すると主張して、同...
3
*Case2020

2020.12.14 「ロシュ v. アムジェン」 知財高裁令和元年(行ケ)10076・・・相違点は引用発明に内在する作用効果にすぎないのか争われた事例

1.はじめに 本件は、本願発明と引用発明との相違点について「あくまで先願発明に内在していた効果にすぎないところ,それによって新たな用途が見出されたわけではない」と原告が主張し、新規性が争点の一つとなった事件である。出願時には知られていなかった内在的特性(inherent feature)を構成に取り入れた物の発明についての新規性をどのように取り扱うかという重要な論点について、裁判所は「出願日より前...
2
*Case2020

2020.12.02 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10096, 令和2年(行ケ)10097, 令和2年(行ケ)10098(中間判決)

1.事件の背景・中間判決の概要 東レが保有する「止痒剤」に関する特許権(特許第3531170号)の3件の存続期間の延長登録を無効とした各審決に対して、東レ(原告)が、無効審判請求人である沢井製薬及び特許法148条1項に基づいて各審判に参加したニプロを被告として、取消しを求めた延長登録無効審決取消訴訟で、2020年12月2日、知財高裁は、「被告ニプロの被告適格に関する本案前の抗弁は理由がない。」との...
0
*Case2020

2020.07.22 「X v. アムジェン」 東京地裁平成31年(ワ)1409

腫瘍溶解性ウイルスの開発競争に特許侵害訴訟も勃発(G47Δ/DS-1647 v. T-VEC/IMLYGIC)・・・本件治験が特許法69条1項「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当するか・・・ 腫瘍溶解性ウイルスの開発競争 東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授は、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計された遺伝子組換え第三世代がん治療用単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)である「DS-16...
1
*Case2020

2020.08.21 「X v. 小野薬品・Y」 東京地裁平成29年(ワ)27378

当時の大学院生が、小野薬品及び本庶氏が共有する抗PD-L1抗体に関する特許権に係る発明の共同発明者であると主張して同特許権の持分の一部移転登録手続等を請求した事件・・・本件(東京地裁平成29年(ワ)27378)は、2000年4月から2002年3月まで京都大学大学院生命科学研究科(生体制御分野)の修士課程に在籍しZ教授の研究室(Z研)に所属していた原告Xが、抗PD-L1抗体を有効成分として含む癌治療...
1
*Case2020

2020.06.17 「X v. アルコンリサーチ/協和キリン」 知財高裁令和元年(行ケ)10118

差戻審知財高裁判決が発明効果の顕著性を認め原告の請求棄却: 知財高裁令和元年(行ケ)10118 1.背景 本件は、協和キリン及びアルコンリサーチが保有する「アレルギー性眼疾患を処置するためのドキセピン誘導体を含有する局所的眼科用処方物」に関する特許第3068858号の無効審判請求(無効2011-800018号事件)に対する不成立審決の取消訴訟である。本件化合物を本件各発明に係る用途に適用することを...
4
*Pharma/IP news

骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与に関連する特許群とジェネリックメーカーの動き

旭化成ファーマは、ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分である N 端側の 1-34番目のアミノ酸に相当する化学合成ペプチドであるテリパラチド(Teriparatide)酢酸塩を有効成分とする週 1 回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注用56.5μg」を製造販売しています(再審査期間は、2011年9月26日~2017年9月25日(6年))。2019年9月には「テリボン®皮下注28.2μg...
1
*Pharma/IP news

エビリファイ®用途特許を巡るジェネリックメーカーの動き (2)

エビリファイ®はアリピプラゾール(aripiprazole)を有効成分とする抗精神病薬であり、日本では「統合失調症」の効能・効果で2006年1月に製造販売承認を取得した。世界での売上は 2014年度には6,542億円(そのうち米国は5,225億円)に達し、大塚ホールディングス株式会社の連結売上高の約4割を占めた。現在は、ジェネリックの参入により売り上げは落ち込んでいるが(米国では、2015年4月に...
3
スポンサーリンク