*Case2024

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2024.11.07 「再生未来・再生ファーマ v. 神戸医療産業都市推進機構」 大阪地裁令和4年(ワ)9696・令和4年(ワ)10968 ― 委受託研究契約「協議し決定するものとする」条項で起きた顛末 ―

1.背景 本件(令和4年(ワ)9696 損害賠償請求事件(甲事件)・令和4年(ワ)10968 特許権移転登録手続請求事件(乙事件))は、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(以下「被告」)に研究を委託する契約を締結した医療法人再生未来(以下「原告再生未来」)が、被告の研究者P3により発明された本件発明が本件契約に基づく研究により得られた成果物であることを前提として、 原告再生未来が、P3が本件発明...
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2024.09.26 「旭化成ファーマ v. 沢井製薬」 大阪地裁令和4年(ワ)3344 ― 引用文献に明示されていない酸化抑制の構成を相違点と認定し、内在理論に基づいた容易想到性を否定した事例 ―

1.はじめに 本件(大阪地裁令和4年(ワ)3344)は、沢井製薬が骨粗鬆症治療薬「テリボン®皮下注用56.5μg」(有効成分:ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分であるN端側1-34ペプチド断片のテリパラチド酢酸塩)の後発医薬品を製造・販売したことに対し、その製品が旭化成ファーマの特許権を侵害しているとして、旭化成ファーマが販売差止め及び損害賠償を求めた訴訟である。 旭化成ファーマの特許権は、...
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2024.09.26 「ノーベルファーマ v. 沢井製薬」 東京地裁令和5年(ワ)70178 ― ノベルジン®(酢酸亜鉛水和物錠)後発医薬品の製法は「(乾燥して造粒物を得る工程における)品温が40℃未満」を充足するか

Summary 本件は、ノーベルファーマが、酢酸亜鉛水和物錠の製造方法に関する特許権を沢井製薬が侵害していると主張し、沢井製薬の製品(ノーベルファーマの先発医薬品ノベルジン®の後発医薬品)の製造・販売の差止め及び廃棄を求めた事案である。 争点は、沢井製薬の製造方法が特許発明の構成要件「(乾燥して造粒物を得る工程における)品温が40℃未満」を充足するか否かであった。 東京地裁は、沢井製薬から提出され...
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2024.10.22 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和6年(ラ)10001 ― 仮処分決定を不服とする保全異議申立却下決定に対する保全抗告事件 ―

本件(知財高裁令和6年(ラ)10001)は、旭化成ファーマが、沢井製薬(抗告人)が製造・販売する骨粗鬆症治療薬「テリボン®皮下注用56.5μg」の後発医薬品(抗告人製品)が「高純度PTH含有凍結乾燥製剤およびその製造方法」に関する特許権(特許第6025881号)を侵害するとして、その製品の製造・販売の差止めや製品の引渡し、薬価基準収載品目削除を求めた仮処分命令申立て(大阪地裁令和4年(ヨ)2001...
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2024.10.28 「サムスン v. バイエル」東京地裁令和6年(ヨ)30029 ― パテントリンケージにおける特許権者による情報提供と不競法の虚偽告知該当性 ―

Summary 本件は、後発メーカーのサムスンが、バイオ後続品が本件特許権を侵害するとして先発メーカーのバイエルが厚労省に情報提供した行為が不競法2条1項21号に定める不正競争に該当すると主張し、その告知行為の差止めの仮処分を求めた事案である。 東京地方裁判所は、バイエルの情報提供は虚偽の回答に該当するとしつつ、パテントリンケージ制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものではないと判断し、サム...
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2024.08.07 「科研製薬 v. リジェネロン/サノフィ」 知財高裁令和5年(行ケ)10019 ― 臨床試験結果に基づく医薬用途発明の特許出願のジレンマ:臨床試験プロトコル公開のインパクト

1.はじめに アトピー性皮膚炎治療のための抗インターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体を含有する医薬組成物に関するリジェネロン及びサノフィの特許に対する無効審判請求を不成立とした審決を不服として科研製薬が提起した審決取消訴訟(知財高裁令和5年(行ケ)10019)で、知財高裁は、本件審決の判断に誤りはなく、科研製薬が主張する取消事由(進歩性、サポート要件及び実施可能要件に関する誤り)はいずれも理由...
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公正取引委員会、ASP Japanに排除措置命令 – 後発フタラール製剤の使用を阻止する抱き合わせ販売を違法行為と認定

公正取引委員会は、2024年7月26日、ASP Japan合同会社(以下「ASP」)に対して独占禁止法の規定に基づく排除措置命令(令和6年(措)第9号)を行ったことを発表しました。 参照: 2024.07.26 公正取引委員会: ASP Japan合同会社に対する排除措置命令について (印刷用)(令和6年7月26日)ASP Japan合同会社に対する排除措置命令について (令和6年7月26日)本件...
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2024.07.16 Sanofi v. Amgen 459505/2023 (UPC_1/2023) - 医薬特許で初のセントラルアタック(Central revocation) 欧州統一特許裁判所(UPC)がAmgenの抗PCSK9抗体特許を無効と判断 -

2024年7月16日、欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court、以下「UPC」)の中央部(ミュンヘン支部)は、Amgen社の特許EP3666797B1が進歩性を欠くとして無効との判決を下しました。 問題となったのは、機能的に表現された抗PCSK9抗体クレームです。 参照:Sanofi v. Amgen, Registry number ACT_459505/2023 UPC_C...
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2024.03.25 「X v. 全星薬品工業」 知財高裁令和5年(ネ)10090 ― 塩酸アンブロキソール徐放性OD錠職務発明対価請求控訴事件 「発明の特徴的部分」への寄与の有無に基づき元製剤技術部長の発明者適格を否定 ―

Summary 発明の名称を「徐放性塩酸アンブロキソール口腔内崩壊錠」とする特許第5919173号に係る本件発明2等に関して、被告(全星薬品工業)の元従業者であった原告が被告に対して提起した職務発明対価請求控訴事件で、知財高裁は、「発明の特徴的部分とは、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち従来技術にはみられない部分、すなわち、当該発明に特有の課題解決手段を基礎付ける部分を指すものと解するのが...
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2024.03.26 「フマキラー v. アース製薬」 知財高裁令和5年(行ケ)10057 ― 優先権主張の効果、補正・訂正要件、実施可能要件の交差点 ―

Summary 本件は、フマキラー(原告)が、アース製薬(被告)が特許権者である特許第6539407号に対する無効請求不成立審決の取消しを求めた事案であり、実施例補充型の国内優先権主張の効果が認められるかどうかが実質的な争点であった。 知財高裁は、「人工乳首事件」東京高裁判決の説示を踏襲しつつ、「後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨とする技術的事項が、先の出願の当初明細書等に記載された技...
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2024.05.16 「A v. 特許庁長官」 東京地裁令和5年(行ウ)5001 ― 発明者は自然人に限られる。AI発明をめぐる実務上の懸念に対し立法論の検討が期待されると付言 ―

Summary Stephen Thaler博士のAIコンピュータ「DABUS」が生み出した発明について「DABUS」を発明者とした特許出願の発明者適格が争われた訴訟で、東京地裁は、発明者は自然人に限られるものと解するのが相当であり、自然人の氏名を記載するよう命じられた原告が補正をしなかったことにより特許庁長官が本件出願を却下する処分をしたことは適法であると認めるのが相当であるとして、原告の請求を...
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2024.03.21 「大塚製薬 v. トーアエイヨー・ニプロ・東和薬品」 知財高裁令和4年(行ケ)10084 ― サムスカ®の有効成分トルバプタンに関する医薬用途発明の進歩性 ―

Summary 本件は、発明の名称を「重症心不全の治療方法およびその薬剤」とする特許第4771937号の特許権者である大塚製薬(原告)が、本件特許を無効と判断した審決を不服として、その取消しを求めた事案である。 知財高裁は、進歩性欠如を理由として本件特許を無効であると判断した本件審決を支持し、大塚製薬の請求を棄却する判決をした。 この事件には、バソプレシン V2-受容体拮抗薬であるトルバプタン(T...
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2024.03.18 「テバ・東和薬品・日医工・日本ケミファ・ヘキサル v. ジー.ディー.サール」 知財高裁令和4年(行ケ)10127, 10128, 10129, 10130, 令和5年(行ケ)10027 ― セレコキシブ組成物特許の訂正事項とプロダクト・バイ・プロセス表現の難しさ ―

Summary 本件は、ジー.ディー.サール(被告)が保有する「セレコキシブ組成物」に関する特許に対する無効審判請求不成立審決を取り消す前訴判決の差戻し審判で、特許庁は、被告による本件訂正を認め、テバ、東和薬品、日医工、日本ケミファ、ヘキサル(原告ら)の主張する無効理由はいずれも理由がないとして審判請求は成り立たない旨の審決(本件審決)をしたため、原告らが審決の取消しを求めて提起した訴訟である。 ...
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2024.03.25 「X v. クリニジェン」 知財高裁令和5年(ネ)10103 ― 本件訴えは前件訴訟の蒸し返しであり信義則に反する不適法なものであるとして控訴を棄却した損害賠償請求事件  ―

Summary クリニジェン株式会社が本件国内移行手続を執らなかった行為及び本件発明の権利化の機会を発明者である原告Xに与えなかった行為が譲渡契約上の債務不履行を構成すると主張して原告Xが同社に対し損害賠償の支払を求めた控訴審で、知財高裁は、本件訴えは前件訴訟(東京地裁令和3年(ワ)4655)の蒸し返しであって、訴訟法上の信義則に反する不適法なものであり、本件訴えを却下した原判決は相当であるとして...
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2024.03.27 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和5年(ネ)10086 ― 控訴棄却判決、差止め及び廃棄請求について仮執行宣言(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) ―

Summary 発明の名称を「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」とする本件特許を保有する被控訴人(neo ALA)が、控訴人(東亜産業)による各控訴人製品の製造、譲渡等が特許権の侵害に当たると主張して、控訴人に対し、その差止め等を求めた特許権侵害差止請求事件で、知財高裁は、被控訴人の請求を全部認容した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、また、原...
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2024.01.16 「ユーピー ケミカル v. バーサム マテリアルズ」 知財高裁令和4年(行ケ)10097 ― 化学物質名の記載が特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」であること(引用発明の適格性)の判断基準 ―

Summary 「ジイソプロピルアミノシラン」に係る特許発明の新規性等が争点となった無効請求不成立審決取消訴訟で、引用文献には、同物質が記載されているといえるものの、その製造方法に関する記載がないことから、同物質を特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」として認定することの可否が問題となった。 知財高裁は、引用文献に接した本件優先日前の当業者が、思考や試行錯誤等の創作能力を発揮するまでもな...
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Seagen社の抗体薬物複合体(ADC)特許と第一三共 Enhertu®(エンハーツ)を巡る特許紛争 特許付与後レビュー(PGR)において米国特許商標庁がSeagen社特許を無効と判断

1.第一三共の発表と補足説明 2024年1月17日、第一三共は、第一三共が米国特許商標庁(USPTO)に請求していたSeagen社の米国特許10,808,039(以下「'039特許」)の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」)において、米国特許商標庁が'039特許は無効であるとの決定を下したと発表しました。 2024.01.17 第一三共 press...
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