2009年11月13日、厚労省は後発品の薬価基準収載を告示。抗血小板薬アンプラーグ(ANPLAG; 有効成分: サルポグレラート塩酸塩(Sarpogrelate Hydrochloride); 効能・効果: 慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善; 承認年月日(錠): 1993年7月2日)にとっては初の後発品収載となった(22社44品目)。
このサルポグレラート塩酸塩に関して、田辺三菱は日本特許第3864991号を有している。
この特許は「サルポグレラート塩酸塩の結晶」に関するものであり、特願2006-046057(原出願)の出願日(2006年2月22日)と同日に分割された出願(特願2006-46063)として、早期審査請求・出願公開請求を経て同年10月13日に登録(下記請求項)。
20年の存続期間満了日は2026年2月22日。後発品メーカーに対して上記権利を侵害しないよう田辺三菱が広告(2009.06.18 日刊薬業WEB)を出していたが、結果的には22社の後発品メーカーが薬価基準収載に踏み切ったことになる。原出願は審査請求期限ちかくの2009年2月20日に審査請求され、特許庁に係属中。
【請求項1】
粉末X線回折スペクトルが図1に示すパターンを有する、(±)2-(ジメチルアミノ)-1-{〔O-(m-メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル} エチル
水素サクシナート塩酸塩のII形結晶。【請求項2】
粉末X線回折スペクトルが図1に示すパターンを有し、ブラッグ角(2θ)9.3±0.1°、10.7±0.1°及び16.5±0.1°のいずれにも回折ピークを有しない、(±)2-(ジメチルアミノ)-1-{〔O-(m-メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル} エチル 水素サクシナート塩酸塩のII形結晶。
ところで、同明細書の背景技術の欄には、下記のように記載されている。
「(サルポグレラート塩酸塩は)特許文献1の実施例2の記載に基づき製造することができる公知化合物である。また特許文献1には上記化合物が血小板凝集阻害作用を有することが記載され、さらに特許文献2には上記化合物がセロトニン拮抗作用を有することが記載されている。しかし、これらの文献には、上記化合物に複数の結晶多形が存在するとの記載も示唆もない。」
【特許文献1】特開昭58-32847号公報
【特許文献2】特開平2-304022号公報
上記特許文献1及び2はいずれもアンプラーグをカバーするクレームを有して特許となったものであり、今回、後発品メーカーは特許文献2にあたる特許の存続期間満了(満了日2009年5月18日)を機に参入してきたと考えられる。
参考:
- 日刊薬業WEB: 2009.06.18 【謹告】サルポグレラート塩酸塩(アンプラーグ®)に関する特許権について
- 2008.10.29 「X v. 三菱化学」 知財高裁平成20年(ネ)10039
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