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2010.08.31 「X v. 和光純薬」 知財高裁平成22年(ネ)10010/平成22年(ネ)10027

ビリルビンの測定方法の職務発明対価請求事件: 知財高裁平成22年(ネ)10010/平成22年(ネ)10027

【背景】

被控訴人(被告:和光純薬)の従業員であった控訴人(原告:X)が、被告の特許(特許第2666632号)に係る「ビリルビンの測定方法」に関する発明が原告を発明者とする職務発明であり、その特許を受ける権利を被告に譲渡した旨主張し、被告に対して上記譲渡に係る相当の対価の支払を求めた訴訟。

原判決(2009.12.25 東京地裁平成19年(ワ)31700)は、本件発明の一部は原告の職務発明であると認定し、243万6624円の支払を命じる限度で原告の請求を一部認容した。

そこで、原告は、1億円の支払を求めて控訴を提起し、被告は、原判決中被告敗訴部分を取り消し、原告の請求を棄却することを求めて附帯控訴を提起した。

【要旨】

裁判所は、原告の発明者該当性(争点1)及び相当の対価の額(争点2)ともに、一部付加したほかは原判決のとおり、「原告の請求は、被告に対し、243万6624円及びこれに対する平成19年12月8日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから、その限度で原告の請求を認容した原判決は相当であり、本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも理由がない」と判断した。

本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも棄却。

【補足】

本件試薬(バナジン酸を酸化剤に用いた化学酸化法による総ビリルビン測定試薬である「総ビリルビンE-HRワコー」及び「総ビリルビンE-HAテストワコー」,同直接ビリルビン測定試薬である「直接ビリルビンE-HRワコー」及び「直接ビリルビンE-HAテストワコー」)の売上高のうち、その排他的、独占的な販売に基づく超過売上高に係る分はいくらであるか、その超過売上高に係る分を第三者に許諾した場合に得られる想定実施料(超過売上高に係る分に想定実施料率を乗じた額)はいくらであるかを認定し、本件試薬の販売による独占の利益を算定するのが相当であるとして、下記計算式により相当の対価額が算出された。

  • 68億1840(売上高) x 0.4(超過売上高の割合) = 27億2736万円(超過売上高に係る分)
  • 27億2736万円(超過売上高に係る分) x 0.03(仮想実施料率) = 8182万0800円(被告が受けるべき利益の額)
  • 8182万0800円(被告が受けるべき利益の額) x (1 – 0.9(被告の貢献度)) x 0.3(原告の寄与割合) = 245万4624円(相当の対価の額)
  • 被告から本件発明についての補償金として合計1万8000円の支払を受けているから、被告が原告に支払うべき上記相当の対価の不足額は、243万6624円。

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