プラスミドDNAの精製方法: 知財高裁平成22年(行ケ)10330
【背景】
「固定化させたオリゴヌクレオチドと三重らせんを形成させることによるDNA精製」に関する出願(特願2008-267538; 特開2009-045070)の進歩性違反を理由とする拒絶審決(不服2009-25085号)に対する取消訴訟。
請求項30(本願発明):
他の構成成分と混ざっているプラスミドDNAを含む溶液を,前記DNAに存在する特定のホモプリン/ホモピリミジン配列とのハイブリダイゼーションにより三重らせんを形成することが可能なオリゴヌクレオチドが共有結合したクロマトグラフィー用支持体に通す少なくとも一つの段階を含み,前記オリゴヌクレオチドが10から30の間の長さを有することを特徴とする,プラスミドDNAの精製方法。
【要旨】
裁判所は、
「本願発明は,オリゴヌクレオチドが結合した支持体が,オリゴヌクレオチドを共有結合させたクロマトグラフィー用支持体であり,該支持体にプラスミドDNAを含む溶液を通して接触させるのに対し,引用発明は,オリゴヌクレオチドを結合した支持体が,オリゴヌクレオチドをビオチン-ストレプトアビジンの親和性結合により結合させた磁性ビーズであり,プラスミドDNAを含む溶液にビーズを混合して接触させる点で異なっている。しかし,~本願優先日当時,遺伝子治療等において,DNA精製の効率化という課題が存在していたことが認められ,~オリゴヌクレオチドと支持体を共有結合により固定化するという手段が周知技術であったことが認められる。そうすると,DNA精製の効率化のため,引用発明に上記周知技術を適用して,引用発明における,オリゴヌクレオチドを結合した支持体について,ビオチン-ストレプトアビジンの親和性結合により結合させた磁性ビーズであるとの構成に替えて,オリゴヌクレオチドを共有結合により固定させる構成とすることは,容易に着想できたといえる。」
と判断した。
請求棄却。
【コメント】
欧米では成立。しかも、それぞれ本願発明よりも広い範囲で成立している。
- EP 797682B1; claim 30
- US 6,287,762B1; claim 1
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