2023年4年7日の小野薬品工業からのプレスリリースによると、小野薬品工業、ブリストル マイヤーズ スクイブ(以下「BMS社」)及びダナ・ファーバー癌研究所(Dana-Farber Cancer Institute)は、米国で「本庶・フリーマン特許」、日本で「本庶特許」と認知されている抗PD-1/PD-L1抗体関連特許に関する全世界での訴訟等について、全面的に和解する契約を締結したとのことです。
本和解契約締結により、小野薬品工業及びBMS社は契約一時金をダナ・ファーバー癌研究所に支払うとともに、一定の条件が達成されれば将来追加の支払をダナ・ファーバー癌研究所に行うとのことです(和解条件の詳細は非公表)。
- 2023.04.07 小野薬品工業 press release: 抗PD-1/PD-L1抗体関連特許に関する訴訟の全面的和解についてのお知らせ(Notice regarding Complete Settlement of Lawsuit on Patents relating to Anti-PD-1/PD-L1 Antibody)
- 2023.04.06 Dana-Farber Cancer Institute: Statement on Global Settlement
抗PD-1/PD-L1抗体関連特許の特許権者である本庶佑氏(Tasuku Honjo)及び小野薬品工業と、ダナ・ファーバー癌研究所のゴードン・フリーマン氏(Gordon Freeman)との間で争われていた共同発明者を巡る裁判で、米国では、共同発明者としてClive Wood氏とダナ・ファーバー癌研究所のフリーマン氏の2名が追加されるべきであると判断され、その判決が確定しています(記事(4))。
これを受け、フリーマン氏から本発明に関する権利及び利益を譲り受けたダナ・ファーバー癌研究所は、小野薬品工業及びBMS社が「本庶・フリーマン特許」の独占的所有者として競合他社から受けているライセンス収入の一部利益を受ける権利を有していると主張し、米国マサチューセッツ州連邦地裁に提訴していました。
そして、ダナ・ファーバー癌研究所(フリーマン氏)は、米国だけでなく、日本(記事(7))や欧州(記事(9))でも「本庶特許」に対して共同発明者を巡るアクションを起こしていました。
発表によると、「全面的和解」とのことで、これにより、抗PD-1/PD-L1抗体関連特許に関する小野薬品工業及びBMS社とダナ・ファーバー癌研究所との間で起きていた全世界での訴訟等は一気に収束することになると考えられます。
前回記事:
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以下の出訴事件番号の訴えは取り下げられました。
令和4年(行ケ)10102、令和4年(行ケ)10103、令和4年(行ケ)10104、令和4年(行ケ)10105、令和4年(行ケ)10106
参考: 抗PD-1抗体に関する本庶特許の発明者を巡る米国での裁判、そして日本・・・(7)
https://www.tokkyoteki.com/2022/10/pd-1-honjo-patent-inventor-dana-farber7.html