塩野義(Shionogi)は、2013年12月25日の取締役会で、AstraZenecaから塩野義に支払われている高コレステロール血症治療薬Crestor®のロイヤリティーの枠組みを2014年1月1日から変更するための契約を両社間で締結すること等について決議した。新たな枠組みに関する契約の締結後、ロイヤリティーの料率と受取期間は下記のとおり変更される。
(i) 2014年から2016年までのロイヤリティー料率が、従来のロイヤリティー料率から数%を減少させた料率へ変更される。
(ii) ロイヤリティーの受取期間は、現在の2016年までから変更後には2023年までへ、7年間延長される。また、現在は設定されていないが、今回の契約変更により、2014年から2020年までの間、塩野義が受け取るロイヤリティーに年間数億ドルの最低受取額が設定される。
参照:
- 塩野義 press release: 2013.12.25 高コレステロール血症治療薬 Crestor®に関するAstraZeneca社との契約変更および係争中の仲裁について
- AstraZeneca press release: 2013.12.26 AstraZeneca and Shionogi settle arbitration and extend licence agreement for CRESTOR®
Rosuvastatinの米国での承認(2003年8月12日)から既に10年が経過しており、Orangebookによれば、収載特許のうち塩野義が唯一保有している特許(Rosuvastatinを包含する化合物特許)(RE37314: 5,260,440のreissue patent)も2016年には満了する。
U.S. Securities and Exchange Commissionのwebsiteから得られる塩野義とZenecaの間で1998年4月20日付けで締結されたライセンス契約情報によれば、塩野義は契約上定義された特許(米国であれば5,260,440)の満了日か、上市から10年、のいずれか遅い日までロイヤリティーを得ることができる枠組みになっていることから、米国におけるロイヤリティー受取期間は2016年までであることがわかる。
各年度の決算短信によれば、クレストールのライセンス収入は下記のように推移しているが、2016年でロイヤリティー収入が途絶えたとき、いわゆる「クレストールクリフ」、へのリスクヘッジとして今回の契約変更を行い、その衝撃をできるだけ緩和させて乗り切ろうという経営判断をしたということになる。
2013年度: ???億円
2012年度: 630億円
2011年度: 647億円
2010年度: 642億円
2009年度: 500億円
2008年度: 343億円
2007年度: 298億円
2006年度: 194億円
2005年度: 81億円
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