2022年4月7日の興和のプレスリリースによると、高コレステロール血症治療剤「リバロ®錠」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)に係る特許(特許第5190159号)の特許権者である興和とその後発医薬品『ピタバスタチン Ca・OD錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』を販売する東和薬品との間で争われていた特許権侵害に対する損害賠償請求訴訟において、2022年3月24日付で東京地方裁判所が興和の請求を棄却する判決を言い渡したことを不服として、興和は、4月6日付で知的財産高等裁判所に控訴したとのことです(2022.04.07 興和 press release: 高コレステロール血症治療剤「リバロ」の損害賠償請求訴訟の控訴について)。
2022年3月24日の東和薬品のプレスリリース(ピタバスタチン Ca・OD 錠「トーワ」の損害賠償請求訴訟における勝訴判決のお知らせ)でも、本件特許が無効とされるべきものとの判断に基づき原告の請求が棄却された旨を伝えています。
現在東和薬品が製造販売しているピタバスタチン Ca・OD 錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」は、製剤処方の変更を実施済みであり、本件訴訟の対象ではありません。
経緯
興和は、2015年10月30日付にて東和薬品に対し、本件特許第5190159号に係る特許権の侵害を理由として『ピタバスタチン Ca・OD錠 4mg「トーワ」』の製造販売の差し止めを求める訴訟を東京地方裁判所に提起し、東京地方裁判所は興和の請求を全面的に認める判決を下しました(2017.10.12 記事: 興和による東和リバロ後発品の製造販売差止請求で東京地裁が容認判決)
判決についてはこちらの記事: 2017.09.29 「興和 v. 東和薬品」 東京地裁平成27年(ワ)30872
その後、東和薬品による知的財産高等裁判所への控訴は棄却され(2018.04.04 「東和薬品 v. 興和」 知財高裁平成29年(ネ)10090)、
さらに東和薬品による最高裁判所への上告受理申立は不受理となり、製造販売の差し止め判決は確定しました。
興和は、上記の製造販売差止請求訴訟に加えて、東和薬品に対し、同社の『ピタバスタチン Ca・OD 錠 1mg/2mg/4mg「トーワ」』の販売により損害を受けたとして、同製品の販売開始時期(2013年12月)から 2019年3月末日までの期間における同製品の販売分に関して188億1117万400円の損害賠償請求訴訟を提起していました(2021.04.06記事: 東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で、さらに追加の損害賠償請求)。
毎年この時期恒例となっていたピタバスタチンOD錠を製造販売する東和薬品に対する興和の損害賠償請求追加か、と思いきや・・・今回は、東和薬品の形勢逆転のニュース。
- 2018.06.23 記事: 東和のピタバスタチンCa・OD錠 興和が製剤特許侵害で損害賠償請求
- 2019.04.02 東和薬品 press release: 当社に対する損害賠償請求訴訟の提起に関するお知らせ
- 2020.04.28 記事: 東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で追加の損害賠償請求
- 2021.04.06 記事: 東和薬品のピタバスタチンOD錠 興和が製剤特許侵害で、さらに追加の損害賠償請求
知財高裁での控訴審判決はどうなるのでしょうか。
コメント
2022.05.24 東和薬品 press release: 当社に対する控訴の提起に関するお知らせ
https://www.towayakuhin.co.jp/pdf/news220524.pdf