2020年2月17日、沢井製薬及び日医工が、骨粗鬆症治療剤(活性型ビタミンD3製剤)エディロール®カプセル0.5µg、同0.75µg(一般名:エルデカルシトール(eldecalcitol))の後発品(『エルデカルシトールカプセル0.5μg・0.75μg「サワイ」』、『エルデカルシトールカプセル 0.5μg、0.75μg「日医工」』)の製造販売承認をそれぞれ取得しました。
これを受けて、同日、中外製薬は、「沢井製薬及び日医工は、当該後発品の原薬の製造を日産化学に委託し、日産化学から当該原薬を購入し使用して、当該後発品を製造し販売しており、その際、上記3社は、当該後発品の製造及び販売のため、中外製薬が保有する特許第3429432号の権利範囲に属する結晶形を生産し使用している」と主張して、当該特許に基づいて、上記3社に対し、当該結晶形の生産及び使用の差止め、廃棄、並びに損害賠償を求めて、東京地方裁判所に特許権侵害訴訟を提起していました。
参考記事: 2021.02.17「中外製薬 エディロール®カプセル(エルデカルシトール)に関する特許権侵害訴訟を再提起」
中外製薬 エディロール®カプセル(エルデカルシトール)に関する特許権侵害訴訟を再提起
2021年2月17日付の中外製薬からのプレスリリース(「エディロールカプセルに関する特許権侵害訴訟の再提起について」)によると、中外製薬は、骨粗鬆症治療剤(活性型ビタミンD3製剤)エディロール®カプセル0.5μg、同0.75μg(一般名: エルデカルシトール(Eldecalcitol)。以下、エディロールカプセル)の後発医薬品に関し、中外製薬が保有する物質特許に基づいて、沢井製薬、日医工及び日産化...
本日2022年2月24日付の中外製薬、沢井製薬、日医工及び日産化学の各社プレスリリースによると、中外製薬が提起した上記の特許権侵害訴訟において、東京地方裁判所は、当該後発品の原薬は中外製薬の有する特許権を侵害しないと認定し、中外製薬の請求を棄却する旨の判決を言い渡したとのことです。
中外製薬は、判決の内容を踏まえた上で、今後の対応を検討していくとのことです。
各社プレスリシース:
- 2022.02.24 中外製薬 press release: エディロールカプセルに関する特許権侵害訴訟における東京地方裁判所の判決について
- 2022.02.24 沢井製薬 press release: エルデカルシトールカプセル0.5μg・0.75μg「サワイ」 特許権侵害訴訟に関する勝訴のお知らせ
- 2022.02.24 日医工 press release: エルデカルシトールカプセル「日医工」の特許権侵害訴訟に関する勝訴のお知らせ
- 2022.02.24 日産化学 press release: エルデカルシトール特許権侵害訴訟等に関する勝訴のお知らせ
コメント
中外製薬が権利化していた結晶形が、沢井の原薬に含まれていなかったのでしょうか?
コメントありがとうございます。判決文が公開されれば、その点は明らかになると思われます。
2022.03.11 日刊薬業: 「エディロール」物質特許訴訟、控訴を断念 中外製薬
https://nk.jiho.jp/article/169509
判決文が出ましたね。「証拠不充分」的な感じ
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/016/091016_hanrei.pdf
情報ありがとうございます。こちらですね。証拠不十分なら、査証制度を試す選択肢はないのでしょうか。
査証制度を使って、証拠を取りに行かないんでしょうか。こういう時のための査証制度導入だと思ってましたが…
査証制度活用すべき案件だったのでは、とのご趣旨のコメントを頂き、ありがとうございました。
査証制度活用の期待が膨らみましたが、判決文の前提事実及び延長された特許権であることを踏まえると、これ以上、証拠を求めても、中外にとって勝訴はそもそも厳しかったと思えてきました。中外が控訴を断念した(らしい)決断は妥当に思えます。来週以降にブログ記事をアップする予定です。